溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。
「……わたあめっ……」


なんでだろう……先輩を待ってる時間ですら、愛おしく感じる……。


あんなに関わらないようにしようって決めたのに……。


やっぱり、先輩は魔法使いかもしれない。


その時。

……あれって……小華井、先輩?

遠くの方に見えたのは、おそらく小華井先輩と見られる人。


そして……。

「あっ……」


目が、合ってしまった。


慌てて目を逸らすも、もう遅いらしく、小華井先輩は私の方へずかずかと歩いて来る。


ど、どうしようっ……なんだか、嫌な予感っ……。


「真白ちゃん」

「あ、こ、小華井先輩……」

「こんなところで会うなんて奇遇だね」


にこっと微笑んだ小華井先輩。

けれど、目が全く笑っていない。


「あ、あははっ……」

「そのぬいぐるみ、なぁに?」

「あっ……これは……」


す、素直に言ったら……なにされるか、わからないっ……。


ぎゅっとぬいぐるみを抱きしめる。


「……弟、から貰ったんです」

「あ、なんだ。弟さんからもらったんだね」

「はい……!」


千星先輩、小華井先輩ごめんなさいっ……!


「……千星先輩、どこにいるか知ってるかな?」

「えっ?あ、ち、千星先輩もきてるんですか……?」

「あれ?さっき一緒にいなかった?」

「い、いえっ……」


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