溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。
ほんと、嘘ついてごめんなさいっ……。

けど……怖くて……小華井先輩が……。


「……へぇ。じゃあ、いいよね」

「え……?」

「真白ちゃん、佐伯先輩に近づかないでくんない?」

「……?」


小華井先輩の、聞いたことのないぐらい低いトーンの声。


「っ……あ、あのっ……けどっ……でも……」


私は、先輩の、かの、じょ……だから……。


「なんで、ですか!?私だって、千星先輩のことが大好きなんです……!!」

「っ……!アタシは、一年も前からずっと片想いしてんのよ!!」

「で、でも……!」


一年も、前……。


「あっはは、一年程度でなに意地張ってんだよ。こちとら10年間も片想いしてんのに」

「……えっ?さ、佐伯先輩!?」

「小華井さん、もう近づかないでって言わなかったっけ?」

「ち、ちが……これは……」


ち、千星先輩、いまなんて……?


ボソッと投げ捨てられた言葉が、気になって仕方がない。


けれど……助けにきてくれて、とっても嬉しいっ……。


「っ……」

「ごめん、真白は俺の彼女だから。」


私の方に寄ってきて、ぽんと私の頭に手を乗せた先輩はまたそんなドキドキするようなセリフを言う。

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