溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。
「……記憶力、いい方じゃなかったっけ?」

「もちろん!めちゃくちゃいい方だよ?」


これは自分で言ってしまうが、平均値よりは絶対に記憶力がいい自信がある。


「じゃあ、小さい頃、俺が滑り台から落ちた時、何歳だった?」

「ええ!?」


そんな無茶な!っていうかそんなこと真冬は覚えてるの!?


うーん……。

真冬は、結構しっかりしてたから、落ちてしまった時のことはよく覚えている。


歳は……。


たしか、私と2人で公園に行って遊んでいた時だったから、私が7歳で真冬が5歳、かな。


「私が7歳の時!!」

「……正解」

「やったぁ!」


ほら、やっぱり記憶力がある!


「じゃあ、7歳の頃の記憶って他にないわけ?」

「え?7歳の時の記憶?」


んー……ないなぁ。


「あ、小学生になってからの友達とかと楽しかった時のこととか?」

「あー。もういいや。寝る」

「え?えええっ!?」


な、なんで!?

はぁと大きなため息をついた真冬は部屋を出て行ってしまった。


本当、なんだったんだろう。


……まぁ、いっか。

もう寝よう。



数十分後。


私は睡魔に襲われ、眠りについた。


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