仮面王子とのメモワール
仮面を被った王子様
いま思えば、初めて出会った日から、律紀は人気者だった。
いつも笑顔で、先生からの頼まれごとも嫌な顔ひとつせずそつなくこなして、人当たりも良くて。
まさに、完璧な王子様。
それは、帰って来てからも健在で。
「えっ、早川くんってもう私たちの名前覚えたの?」
「もちろん。木村さんも、中野さんも、長谷川さんも。クラスの人はみんな覚えたよ」
教室の真ん中で、彼は今日もたくさんの人に囲まれてニコニコ笑っていた。
─────律紀が帰ってきて、1週間。
その甘いルックスと人当たりの良さから、律紀は早くもクラスの中心人物になっている。
元々同じ中学だった同級生たちはもちろん、初対面のクラスメイトですら、男女問わずみんな『早川くん、早川くん』だ。