仮面王子とのメモワール


対して律紀はといえば、やっぱりあの胡散臭いほどの爽やかな笑顔。


カタン、と椅子を引いた律紀は、そのまま私の隣である自分の席に座った。



な、なんで……。

そしてどういうわけか、そのまま私たちの会話に参加し始める。


「俺らも中学まではそこそこ仲が良かったんだよ。……ね?蓮見さん」

「……っ、さぁ。どうだったかな」


そうやってニコリと微笑みかけてくる律紀に、思わず顔が引きつった。



ほんっと……何を考えてるのかわからない。



あの初日の保健室で話した日から、律紀とふたりで会話することはなかった。


一躍人気者になった彼は常に人に囲まれてるし、いくら隣の席といっても、私には未央とシュウちゃんがいる。


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