仮面王子とのメモワール

「ひどいなぁ、蓮見さん。結構俺、蓮見さんとの思い出あると思ってるのに」


明るい律紀の声に、ピクリとシュウちゃんの眉が動いた気がした。



「……。へぇ〜、例えば、どんな？」


深堀してほしくないのに、彼のその発言にシュウちゃんが完全に反応してしまっている。


思わず未央の顔を見るけど、未央も苦笑い。



食いついた、とばかりに、その元凶主の口角が密かに上がったのを、私は見逃さなかった。


……本当、そういう意地の悪いところ、変わってない。



「例えば……」

チラッとこちらを見た律紀の視線に、心臓がドキッと音を立てた。


な、なんか変なこと言うつもりじゃ。


「ちょっと……っ、」

慌てて止めようとした、そのとき。




───キーンコーン……。



私の気持ちを汲み取ってくれたかのように、絶妙なタイミングでチャイムが鳴り響いた。