仮面王子とのメモワール

***


「どういうつもり?」


放課後の、誰もいない教室。


そこで言葉を発したのは、私ではなく彼の方だった。



「どうもこうも、直接言うしかないと思って」

「で、待ち構えてたんだ?わざわざ、"元カレ"を」

「〜っ、だから……!」


ニッと笑った律紀は、今この場に私たちしかいないのを良いことにその胡散臭い仮面を外している。



理由は知らないけど、帰りのHRが終わってから、彼は職員室に呼び出されていた。


だから、待っていたんだ。こんな機会、多分滅多にない。



「散々無視しといて、随分と切り替え早ぇじゃん」

「別に、り……あんたが何もして来なかったら私だって動かなかったし」

「素直に呼べば?名前くらい」

「っ!」


いちいち鋭いところを突いてくる。


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