仮面王子とのメモワール


その見透かした様な顔。



付き合っているときも、律紀にはなんでもすぐにバレた。


辛かったときも、我慢していたときも、すぐに気づいてくれて、隣にいてくれて。

そんな彼に救われてた。支えられてた。


けど、もういまは違う。


私は、1人で立てる。
……あなたがいなくたって。



「律紀」

「……あー、そうくるか」

「もう昔みたいには呼ばないよ」


律、りつ、って。私はずっと彼をずっとそう呼んでいた。


けどもう、私たちは恋人じゃない。


「2年前までの私とはもう違うの。だから、誰にも何も言わないで」


中学のときも、私たちが付き合っているのを知ってるのは未央だけだった。


だから、忘れられるチャンスなんだ。



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