仮面王子とのメモワール


「ねぇ、律紀」


こんなにも真っ直ぐ彼の目を見たのは2年ぶりかもしれない。


絶対にそらさない。そらさせない。

ふぅと息を短く吐いて、覚悟を決めた。





「どこに行ってたの?」

「っ、」


一瞬、律紀の眉がピクリと動いたのを私は見逃さなかった。



「何があったの?」


詰め寄るかの様に再び問う。



掴まれたままの右手首に、グッと力がこもったのがわかった。



ねぇ、律。


私は、あなたを"ちゃんとしたやつ"だと今でも思いたいんだよ。


寂しかったし、辛かったし、忘れたくて忘れたくてたまらなかった。

勝手にいなくなったあなたを、恨みさえした。


けど。けどね。



好きだったの。本当に本当に、大好きだったんだよ。


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