仮面王子とのメモワール
「ね〜やばい。さっき王子の横顔写真ゲットしちゃった〜っ」
「えーうそっ!いいなー送ってー!」
キャッキャと騒ぐ女の子たちが、入れ違いで階段を降りて行く。
もう下校時間だ。廊下は静まり返っていた。
私も急がないと。
パタパタと廊下を走り抜けて、自分の教室のドアに手をかけた。
そのときだった。
「───うるせぇな。わかってるよ、んなこと」
ピタリと動きが止まった。
誰か、いる……?
すっかり静まり返った廊下に、教室の中から声が漏れ聞こえる。
話し声はするけど、聞こえるのは1人の声だけ。ってことは、電話だろうか。