仮面王子とのメモワール
「ちょっと、感じ悪い……です」
「あ?」
「ほら、それ」
もう本音はどうやったって隠すことはできない。
この際だからと、私は思ったことをぶちまけた。
「正直、早川くんの素がなんだろうとどうでもいいです。ただひとつ思うことがあるとすれば、感じ悪い」
はっきりと言ってやった。
あのにこやかな笑顔からの、この豹変。
その変わり身の早さに怖いとさえ思ったけど、今はどうでもいい。
問題は、その態度。
強がって言ってみたはいいものの、内心はものすごくビクビクしていた。
な、なんか言ってよ……。
早川くんの沈黙が、異様に長く感じる。
それから数秒後。
「お前、変わってんな」
まさかのクツクツと笑いながら、彼はそう言った。