仮面王子とのメモワール
「そんなに私に素見せちゃっていいの?性悪がだだ漏れてるけど」
「……お前、ほんと言うこと容赦ねぇな」
「だってそっちが感じ悪いから」
あー言えば、こー言う。
あの"王子様"とまさかこんな風に会話ができるなんて思ってもみなかったから、なんだか新鮮で面白いとさえ思ってしまった。
───それから、彼と話すことが少しずつ増えてきて。
口が悪いだけで本当は不器用なところとか、よく周りを見て助けに気付いてくれる優しさとか、実は、よく笑うところとか。
そんな小さな積み重ねが増えて、どんどん大きくなっていって。
あんなに最悪な初対面だったのに、いつの間にか私はまんまと彼を好きになってしまっていたんだ。