仮面王子とのメモワール


「そんなに私に素見せちゃっていいの?性悪がだだ漏れてるけど」

「……お前、ほんと言うこと容赦ねぇな」

「だってそっちが感じ悪いから」


あー言えば、こー言う。


あの"王子様"とまさかこんな風に会話ができるなんて思ってもみなかったから、なんだか新鮮で面白いとさえ思ってしまった。




───それから、彼と話すことが少しずつ増えてきて。



口が悪いだけで本当は不器用なところとか、よく周りを見て助けに気付いてくれる優しさとか、実は、よく笑うところとか。


そんな小さな積み重ねが増えて、どんどん大きくなっていって。



あんなに最悪な初対面だったのに、いつの間にか私はまんまと彼を好きになってしまっていたんだ。



< 40 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop