仮面王子とのメモワール
クスクス笑っている未央を横目に、なんとなく思い出す。
あぁ、そういえば。
初めて律紀の裏の顔を知ったその日の帰り道で、私、速攻未央に話したんだっけ。
『黙ってろ』なんて言われたけど、早々にその頼みを破ってたような。
まぁ、話したのは後にも先にも未央だけだけど。
「唄はなんにでも真っ直ぐだもんね」
「えぇー。それは未央もでしょ?」
「あはは、もしかして似た者同士?」
ケラケラ笑う未央に、つられて笑う。
とにかく、と、未央は続けて言った。
「唄が傷付かなきゃ、あたしはそれでいいよ」
「うん、ありがとう」
真っ直ぐにそう言ってくれた未央に、なんだか泣きそうになった。
もう絶対、未央には心配をかけたくない。
大丈夫。わかってるよ。
もう昔の私じゃない。
私は、強くなったんだから。