仮面王子とのメモワール
王子様のいる日常
「わっ、わたしと付き合ってください……!」
とある日の昼休み。
ただ図書室に本を返しに来ただけだというのに、私は最悪の現場に出くわしてしまった。
あまり利用者の少ないうちの学校の図書室。
使われるとしたらテスト期間の勉強スペースくらいで、今この時期はほぼいないに等しい。
そこを狙っての、この告白。
しかも相手が……。
「ごめんね、三坂さん。俺、今は誰とも付き合うつもりはないんだ」
「そ、そんな……っ」
にっこりと王子様スマイルを貼りつけて、彼は彼女にそう言った。
……律紀め。
本棚の影から見えてしまうその光景に、私は必死に息を潜めている。