仮面王子とのメモワール


「やっぱり変わってねぇな、唄」

「な、なによ」

「そういう強情で意地っ張りなくせにわかりやすいとこ」


クスクスと笑う律紀は、私をバカにしているんだろうか。


そっちこそ、変わってないくせに。 



律紀は、中学の頃から本に詳しかった。

日頃からほぼ全ジャンルを満遍なく読んでいる、とかなんとか言ってたっけ。


だからそんな律紀に影響されて、私も本をよく読むようになって。


「俺の影響だもんな?その趣味」

「……っ、そ、んなこと」

「ない、って言えるか?」


そこまで言われて、言い返すことはできなかった。


だってその通り過ぎて、反論の余地もない。

今だってこうして、時間を見つけては好きな本を読んでいる。


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