仮面王子とのメモワール
でも。だとしても。
「私が、本を読むのが好きなの」
たとえ律紀がいなくなったって、これはもう私の好きなこと。
私の趣味。
私の、日常。
「あ、そ」
フッと笑って、彼は言った。
「でも、ま。ソレはお前好きだぞ、きっと」
「っ、」
ヒラヒラと手を振って、律紀はあっという間にこの場から去っていく。
ドキンと胸が鳴ったのは、絶対に気のせい。
……そう、思いたかった。
「……で、まんまとその本借りたんだ?」
「う……まぁ、本に罪はないし?」
「唄〜……あんたねぇ」
はぁ、と大袈裟なくらいにため息を吐いて、未央はジト目で私を見てくる。
あははと苦笑いしながらも、私はちゃっかり借りてきたその本を教室の自分の机の上に置いて眺めていた。