仮面王子とのメモワール
文字を見ると眠くなる、がシュウちゃんのお決まりのセリフだ。
国語の授業も苦手らしくて、よく居眠りして先生に怒られていたりする。
「なんでもいいけどさ〜?その体勢、ハタから見たら抱きしめてるみたいだよ?」
「……えっ!?」
未央のその言葉で、ハッとした。
シュウちゃんの匂いが鼻を掠める。
バッと後ろを振り向くと文字通り目の前にシュウちゃんのネクタイがあって、思わず再び前に向き直った。
「ハハッ。なんだよ唄、照れてんの?」
後ろからクスクス笑う声が聞こえる。
「そっ、そんなことない!」
「えー、うっそだ〜」
ケラケラ笑いながらシュウちゃんはポンポンと私の頭を撫でるものだから、少しムッとしてしまった。
か、からかわれてる……。