仮面王子とのメモワール


なんだかんだ言っても、1年生の頃からよく一緒にいるシュウちゃんとは、かなり気が合う方だと思う。


いつでも明るくて優しいシュウちゃんに、私は今までどれだけ助けられて来たんだろう。



「あ、そういや、英語の教科書隣のクラスのやつに貸してたんだった」

「えっ、次の授業英語だよ?」

「うわ、やっべ。ちょ、行ってくる!」

「あはは、急げ急げ〜!」


慌てて教室を出て行くシュウちゃんに、未央と2人でケラケラ笑う。


そんな彼と入れ替わりに律紀が教室に入ってきて、今度は未央と2人揃ってピタリと笑いが止まった。


妙に緊張して来てしまうのは、さっきの図書室のことがあるからだろう。



「あれ、樋山どうかしたの?慌てて出ていったみたいけど」


完全に猫被りモードな律紀は、自分の席に座って早々に、不思議そうな顔で私たちに聞いてきた。

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