仮面王子とのメモワール


「あー……、隣のクラスの友達に英語の教科書貸したままだったんだって」

「ハハ、彼らしいね」


ニコニコ笑う律紀に、少なからず違和感を持つのはもう仕方のないこと。


……と、わかってはいても、どうしても素の彼に慣れすぎていてこっちの笑顔が引き攣りそうだ。


「ん?」とこちらを見てくるあたり、絶対にわかっててやっている。



何も会話が思いつくことなく、数秒。



「……ねぇ、早川くんって、この2年間何してたの?」

「え、ちょっ、未央!?」


唐突に、未央が爆弾発言をした。



机に肩肘をついて、ジトっと律紀を見つめ……というか、睨んでいる。


あまりにも突然な直球すぎる質問に、私の方が慌ててしまった。


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