仮面王子とのメモワール


「ねぇねぇ、早川くん」

「ん?」


休憩時間になって、女の子数人が律紀の席を囲んだ。


相変わらずニコリと優しい笑顔の律紀に対して、彼女たちはなんだか楽しそう。


「今度ね、私たちで早川くんの歓迎会やろうと思ってるの。他クラスにいる早川くんと同じ中学の人たちも何人か集めてね」

「そうそう!歓迎会とおかえりなさい会を兼ねて」


どうかな?とそんな提案をする彼女たちに、当の本人は嫌な顔ひとつすることなく「楽しそうだね」と口にした。


「せっかくのお誘いだから、ぜひ参加するよ」

「きゃ〜っ、ほんとっ?」

「やった!じゃあ詳しく決まったらまた教えるね!」


パタパタとその場を離れて行く彼女たちを横目に、シンプルによくやるな、と思う。


あれだけの素を見ていると、彼がどういうつもりで彼女たちの提案に賛成したのか私にはわからなかった。


全くの他人事。ただの傍観者としての興味。

つまりは、私には関係のない話。



……と、思っていたのに。


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