仮面王子とのメモワール


変なの、なんて4人で笑って、すっかり楽しくて忘れていた。



「きゃ〜っ!早川くんすごい!」


この集まり自体が、彼のためのものだったということを。


少し離れたレーンのところでは、たくさんの人の声援を受けながらボーリングをする律紀の姿がある。


え、なにあれ。なんの声援?

みんなでワイワイ楽しむのが醍醐味であろうボーリングなのに、なぜかその場だけは異空間。


まるで、アイドルのコンサート。うん、なんか違う気がするけど、今はその表現が一番しっくりくる。


「うひゃ〜、やっぱすげぇな、早川の人気」

同じくその光景を見ていたシュウちゃんでさえ、この反応だ。


未央に至っては完全に見なかったことにしている。


律紀も律紀で、なんだかんだ楽しそうに見えた。


わたしには関係ない。うん、全然関係のないこと。



そこからまた、少し向こう側の騒ぎを気にしながらも、あっという間に時間は過ぎていった。

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