仮面王子とのメモワール


「やー、遊んだ遊んだ!」

「あはは、樋山ってば1回もあたしに勝てなかったくせに」

「いやあれは古河が強すぎんだろ」


歓迎会もやっとお開きになって、みんなでゾロゾロとボーリング場から建物の出口へと移動する。


少し前を歩くシュウちゃんと未央の会話にケラケラ笑いながら、私もついていった。



けど。


「唄、ストップ!」


前を歩いていた未央が、急に立ち止まった。


出口はもう目の前。なのに、何故か未央が少し焦ったように私の肩を持つ。


「唄、今日ヘッドホンかイヤホン持ってきた!?」

「……え?」


その言葉で、だいたいの意味はわかった。

未央が止まったことも。焦り出したことも。



「……早川くん、このこと言ってたんだ」

律紀の、あの言葉の意味も。

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