仮面王子とのメモワール
周りのみんなは、もう続々と出口を越えて帰っていく。
それなのに、変なところに佇んでいる私たち3人。
「唄?」
「……へへ、大丈夫」
心配そうにシュウちゃんが顔を覗き込んで来て、咄嗟にヘラッと笑った。
たぶんシュウちゃんにはバレバレの、私の誤魔化し。
「わ、私、未央とこのまま出かける用事あるんだ!だからシュウちゃん、ここで解散ね!」
急な大声なんて、違和感満載だろうか。
でも、正直そこまで気を配れる状態じゃなかった。
これ以上ここにいたくない。
早くまたボーリング場まで……外の音が聞こえないところまで戻りたい。逃げたい。
「でも唄、」
───ゴロゴロ……ッ!
「……ひゃっ」
また雷の音が聞こえてきて、思わず体がびくついた。