仮面王子とのメモワール
「……で?どうした?」
「え?」
ベッド横の椅子に向き合うように座ったシュウちゃんが、真っ直ぐに私を見る。
窓の光が差し込んで、明るい茶髪がより明るく見えた。
ぱっちり二重なその瞳が私を捉えて離さないのは、いつものこと。
「どうもしてないよ。本当に、なんでもないの。強いて言えば寝不足ーみたいな?」
あはは、なんて笑いながら誤魔化してみる。
ごめんね、シュウちゃん。
心の中で謝りはするけれど、本当の理由なんて言えるわけもないから。
「……んー、まぁ、それならいいけど。あんま無理すんなよ」
「もう、シュウちゃんは心配しすぎだよ〜」
むしろ、ちょっと過保護すぎるくらい。
いまだって、わざわざ保健室に来るようなことでもないのにね。