仮面王子とのメモワール


どのみち、彼女には俺に頼る以外選択肢もなかったはずだし。



……で、問題が。


「おい。なんでお前が唄を連れて帰るんだよ?」

「あれ、言わなかったっけ?俺と蓮見さん、中学のときはそこそこ仲が良かったって」


古河の隣で警戒心剥き出しでこちらを見るのは、樋山。



彼が唄を想ってるのは転校初日にわかった。


どうやら付き合ってはいないらしいけれど、周りの連中が言うには"時間の問題"だとか。



樋山からしたら、急に現れた元同級生に好きな女連れてかれるだなんて面白くはないだろう。


けど、そんなの関係ない。



「古河さん。彼、よろしく頼めるかな?」


にこりと笑って言うと、彼女は明らかにめんどくさそうな顔をした。


ふざけんな、と、完全に表情に出ている。


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