仮面王子とのメモワール
あー、やっぱ変わんねぇな。
俺が懐かしく思っていることなんて、きっといまのコイツにはただ腹立たしくなる理由でしかないんだろう。
自業自得すぎて、それはそれで笑えてくる。
───ゴロゴロ……ッ!
また、雷の音が鳴った。
慌てて唄の様子を確認はするものの、どうやらちゃんと聞こえていないらしい。
ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、次はピカッと外が光った。
「……ッ」
さすがにそれには気付いたのか、唄の肩がビクッと跳ねる。
あー、くそ。ここじゃダメだ。
「行くぞ」
「……えっ、ちょっと!」
咄嗟にその手を掴むと、俺は足早に建物の奥の方へと向かう。