仮面王子とのメモワール


「……で?」

「っ……」


ドカッとベンチの隣のスペースへ腰掛けて、隣のこのバカをガン見する。


ゆっくりと逃げるように顔を反対に向けられたが、そんなのどうせただの足掻き。


「お前、雷全く克服してねぇじゃん」

「………」

「そのくせにノコノコ出かけてくるとか何。バカじゃねぇの?」

「……あは」

「笑い事じゃねぇっつの」


はぁ、とため息を吐いて反応を伺う。



大の辛党で、好きな飲み物は甘さ控えめのストレートティー。

虫だって心霊系だって、全く怖がる素振りはない。


加えて強気な性格という、どちらかといえば男要素強めな可愛げのない女。


そんな唄の、唯一ダメなもの。

それが、今起きてるこの状況だ。


< 86 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop