仮面王子とのメモワール
「……で?」
「っ……」
ドカッとベンチの隣のスペースへ腰掛けて、隣のこのバカをガン見する。
ゆっくりと逃げるように顔を反対に向けられたが、そんなのどうせただの足掻き。
「お前、雷全く克服してねぇじゃん」
「………」
「そのくせにノコノコ出かけてくるとか何。バカじゃねぇの?」
「……あは」
「笑い事じゃねぇっつの」
はぁ、とため息を吐いて反応を伺う。
大の辛党で、好きな飲み物は甘さ控えめのストレートティー。
虫だって心霊系だって、全く怖がる素振りはない。
加えて強気な性格という、どちらかといえば男要素強めな可愛げのない女。
そんな唄の、唯一ダメなもの。
それが、今起きてるこの状況だ。