先輩からの卒業
三宅先輩は優しすぎるから
卒業まで残り2週間。
受験生であってもバレンタインデーが近づくとソワソワしはじめる男子達。
今年はチョコを用意しない子達が多数いる一方で、進路決定組や息抜きでチョコを作るという子もちらほらと存在した。
私はどちらにも当てはまらない。
バレンタインは私にとって後悔の記憶しかないからだ。
だから、昨年もチョコは用意しなかった。
貰った友チョコにはホワイトデーにお返しをする。
そんな子達が何人もいたおかげで、チョコを用意せずともうまく乗り切ることができた。
「奈子ー。校庭行こ」
「んー」
真帆と一緒に1階へと続く階段を降りる。
今日は朝礼があり、全校生徒が校庭に集合するのだ。
「奈子、なんか顔色悪くない。大丈夫?」
「そう?大丈夫だよ」
「ほんと?気分悪くなったらすぐ言ってよね」
「ありがとう」
正直に言うと、今朝は少しだけ身体がだるかった。
バレンタインが近づくとあの日の出来事が脳裏を駆け巡る。
……なんてことは真帆には言えない。
これ以上、心配をかける訳にはいかないから。
「えー皆さんおはようございます」
朝礼が始まると太陽が照りつける中、校長先生の長い話が続いた。