先輩からの卒業


1限目終了のチャイムが鳴り、体調も元に戻った私は教室へと続く階段を登る。


すると中腹のあたりで真帆と顔を合わせた。

「奈子!大丈夫?今、保健室向かうところだったの」

「ごめんね、心配かけて。寝たら治っちゃった」


「ならよかった。もう心配したんだから」

真帆はそう言うと自分の腕を私の腕へと絡ます。


もう、支えてくれなくても大丈夫なのに。

そう思いながらも、私は真帆のその優しさに黙って甘えた。


そして、教室に着くと2限目の授業が始まった。

隣にいる先輩は机に顔を伏せたま。

先生も特に起こそうとはしない。


寝てるのかな?


私は机からメモを取り出すとそこに

『さっきはありがとうございました。
 もう大丈夫です』

そう書いて寝ている先輩を起こさないようにそっと机の端へと置いた。


先輩がそのメモに気づいたのは授業も終わりかけた頃。


何やら隣でペンを走らせる先輩を盗み見ていると、さっきとは別の紙が今度は私の机の上に置かれる。


四つ折りにされたルーズリーフ。

それをそっと開く。



『なんで俺じゃなくて浪川?』


その言葉に思わず目を丸くする。


どうしてそんなこと……。


けれど、確かに先輩からすれば気分は良くないだろう。

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