先輩からの卒業
『すみません。先輩が脚を痛めるんじゃないかと思って』
『もう痛くもなんともないから』
……先輩の嘘つき。
今でもたまに脚を気にする様子を私は何度も見ている。
先輩を傷つけた上に嘘まで吐かせるなんて、本当自分の存在が嫌になる。
『でも、心配だったんです』
その後も手紙のやり取りは続く。
『あれぐらい平気だから。今度は素直に頼れよ』
人の心配ばかり。
本当にどこまでも優しい人。
『ありがとうございます』
これが最後だと思ったら、また先輩からの手紙が飛んでくる。
『浪川と仲いいの?』
これは……どういう意味で聞いているのだろう?
ただ単に気になって?
真帆も私と浪川くんが話しているのを不思議そうにしていた。
それほどまでに私達2人が会話をしていると違和感があるのだろうか。
私と浪川くんの関係。
それをなんと表すべきなのか。
告白されたことをわざわざ言う必要もないし……友達というのも少し違う。
『同じ美化委員会だったんです』
そう返事を返すと同時に2限目終了のチャイムが鳴る。
その後、先輩からの返事はなかった。