先輩からの卒業
学校から帰ると、リビングでは今日学校でよく見た光景と同じものが広がっていた。
先輩ほどではないが、テーブルには贈り物の山ができている。
中には高級ブランドのチョコまで。
「あ、奈子おかえり。いや〜大学行ってもお兄様のモテっぷりは健在だわ」
「良かったね」
「おいおい冷てぇな。あ、そういや後で巧来るって」
「な、何しに?」
「何しにって俺に会いに来るに決まってるだろ」
……そ、それもそうか。
何を焦ってるんだか。
先輩が突然遊びに来ることなんて今に始まったことじゃない。
「私、部屋で勉強してるから声かけないでね」
「まーた勉強かよ」
お兄ちゃんの小言が始まる前に、私は自分の部屋へと避難した。
制服から部屋着に着替えて、見もしない教科書を机の上に広げる。
そうして、1時間が経った頃だろうか。
コンコンとドアをノックする音が鳴り、私が返事をすると勢いよくドアが開けられた。
立っていたのは制服姿の先輩だ。
きっと、学校から直接うちに来たのだろう。
先輩は私の許可なく部屋に足を踏み入れると、「奈子の嘘つき」そう吐き捨てた。