先輩からの卒業


学校から帰ると、リビングでは今日学校でよく見た光景と同じものが広がっていた。

先輩ほどではないが、テーブルには贈り物の山ができている。



中には高級ブランドのチョコまで。



「あ、奈子おかえり。いや〜大学行ってもお兄様のモテっぷりは健在だわ」


「良かったね」

「おいおい冷てぇな。あ、そういや後で巧来るって」


「な、何しに?」


「何しにって俺に会いに来るに決まってるだろ」


……そ、それもそうか。


何を焦ってるんだか。


先輩が突然遊びに来ることなんて今に始まったことじゃない。

「私、部屋で勉強してるから声かけないでね」

「まーた勉強かよ」


お兄ちゃんの小言が始まる前に、私は自分の部屋へと避難した。



制服から部屋着に着替えて、見もしない教科書を机の上に広げる。



そうして、1時間が経った頃だろうか。


コンコンとドアをノックする音が鳴り、私が返事をすると勢いよくドアが開けられた。


立っていたのは制服姿の先輩だ。


きっと、学校から直接うちに来たのだろう。




先輩は私の許可なく部屋に足を踏み入れると、「奈子の嘘つき」そう吐き捨てた。


< 26 / 56 >

この作品をシェア

pagetop