先輩からの卒業
「これは今日奈子ん家、突撃だな」
「お兄ちゃんの慌てふためく姿が目に浮かびます」
「奈子も一緒にゲームする?」
「……じゃあ、少しだけ。お兄ちゃんをギャフンと言わせましょう」
「よし、決まりな!」
私がほんの少し気持ちを緩めるだけで、こんなにも簡単に笑い合えたんだ。
それからというもの、私達の関係はまるで事故前と変わりがないほどに修復されていった。
先輩が突然、態度を変えた私に何も聞かなかったのも優しさからだろう。
例えこれが偽りの関係だとしても残りわずか。
卒業すれば先輩とは会う機会も減る。
それまでは昔と変わらない笑顔の奈子でいたい。