ABYSS〜First Love〜
少し歩けるようになって
駅前を歩いていると高校の時の同級生に会った。
「あれ?リオじゃん。
元気してた?
てか色白いな?
お前本当にリオ?」
高校の同級生とはほとんど口を聞いたこともなかった。
オレは毎日授業ギリギリに学校に行って
終わるとすぐに海に行く生活だったから
友達と呼べるヤツはいなかった。
誰とも遊ばなかったが
唯一この佐久間だけはオレをリオと呼んで話しかけてきた。
「何?暇してんの?
海行かないの?」
オレは何も言わずに脚をみせた。
「怪我したのかー。結構酷いの?」
佐久間は彼女と一緒だった。
「ね、誰?」
となりの彼女が佐久間に聞いた。
「あ、高校の時の同級生。
すっげーサーフィン上手いんだ。
あ、こっちオレの彼女のマキちゃん。」
オレはマキちゃんに頭を下げた。
きっとこういう2人が普通なんだろう。
オレとユキナリが手を繋いでたらやっぱり普通じゃないって目で見られるだろう。
「こんにちは。」
マキちゃんは感じのいい子だった。
「な、暇なら一緒に遊ばない?
マキちゃんの友達も呼んでさ。
マキちゃん、サオリちゃん呼べば?
彼氏募集中だろ?」
余計なことを…と思ったが普通に女の子と遊ぶのもユキナリを忘れるキッカケになるかもしれないと思った。
別に男が好きなわけでもない。
しばらくしてサオリちゃんがやってきた。
モデルみたいに細くてスタイルがよくて
綺麗な子だった。
「美人だろ?」
オレたちはカラオケに行って
その後みんながウチに来てタコパなるものを一緒にやった。
サオリちゃんは美人の上に気を遣えるいい子だった。
楽しくはなかったが、気は紛れた。
オレは佐久間に感謝した。
「これ、リオくんのボード?」
「うん。まぁ。」
「ね、今度波に乗るとこ見に行っていい?」
「あー、うん。いいよ。
でも今は怪我してて無理なんだ。
あと2週間くらいは安静でさ。」
サオリちゃんを連れて行けばユキナリは安心するだろうか。
そんなことを考えてる自分が嫌だった。
オレはサオリちゃんと連絡先を交換して
サオリちゃんに誘われるまま
一緒に映画を観たり、
水族館に行ったりした。
誘うのはいつもサオリちゃんからで
オレの気持ちはやっぱりユキナリに囚われたままだった。
それから2週間がすぎてオレは久しぶりに海に行った。
ユキナリに逢いたくなかったけど
波に乗りに来たのに
海の家を避けるワケにも行かなかった。
少なくとも人として
心配してくれて何回かお見舞いに来てくれたオウスケさんには挨拶しないといけない。
「おー、リオ。復帰したか?
しかし白くなったなぁ。」
海で見ると余計に白く感じる。
そんなオレの視界にユキナリが入った。
相変わらずユキナリはオレの胸を苦しくした。
「よぉ、元気だったか?」
ユキナリは何にもなかったようにオレに挨拶した。
本当に嫌なヤツだ。
「リオくん!」
サオリちゃんがやってきた。
佐久間とマキちゃんも一緒だった。
ユキナリはサオリちゃんを見ていた。
「誰?」
オウスケさんがニヤニヤしながら聞いていた。
「あー、高校時代の同級生とその彼女とその友達。」
「へぇ。同級生の彼女のその友達は綺麗な子だなぁ。」
オウスケさんがオレの顔を覗き込んで揶揄うみたいにそう言った。
オレはユキナリの顔を見た。
ユキナリはオレを冷たい目で見ていた。
もうユキナリなんて忘れてるみたいに
オレはサオリちゃんと同じテーブルに座った。
「リオくん、波乗るとこ見せて。」
「もう暫く乗ってないから上手く乗れるかわかんないよ。」
「それでもいいよ。」
サオリちゃんみたいな子を好きになって付き合ったらきっと幸せになれるんだろう。
そう思ってもオレはユキナリの視線が気になった。
サオリちゃんには申し訳なかったけど
ユキナリが安心すればそれでいい。
もうユキナリには関わらない。
そう思ってたのにいざと顔を合わせると
ユキナリのことで頭がいっぱいになる。
オレはその想いをかき消すように波に向かっていった。
サオリちゃんは波に乗るオレを見て喜んでくれた。
「リオくん、カッコ良かったー!」
「いや、ダメダメだった。」
どんなに他の人に見つめられても
オレの気持ちが揺らぐことはない。
ユキナリの目の前に立つと
それだけで脚が震えた。
久しぶりに波に乗って疲れたと言って
オレは佐久間やサオリちゃんたちと別れ
自分の部屋に早々に戻った。
ユキナリへの気持ちが溢れてしまいそうで早く一人になりたかった。
「好きだよ。ユキナリさん…」
シャワーを浴びながらそう呟いた。
誰にも聞かれる事のない虚しい告白だった。
駅前を歩いていると高校の時の同級生に会った。
「あれ?リオじゃん。
元気してた?
てか色白いな?
お前本当にリオ?」
高校の同級生とはほとんど口を聞いたこともなかった。
オレは毎日授業ギリギリに学校に行って
終わるとすぐに海に行く生活だったから
友達と呼べるヤツはいなかった。
誰とも遊ばなかったが
唯一この佐久間だけはオレをリオと呼んで話しかけてきた。
「何?暇してんの?
海行かないの?」
オレは何も言わずに脚をみせた。
「怪我したのかー。結構酷いの?」
佐久間は彼女と一緒だった。
「ね、誰?」
となりの彼女が佐久間に聞いた。
「あ、高校の時の同級生。
すっげーサーフィン上手いんだ。
あ、こっちオレの彼女のマキちゃん。」
オレはマキちゃんに頭を下げた。
きっとこういう2人が普通なんだろう。
オレとユキナリが手を繋いでたらやっぱり普通じゃないって目で見られるだろう。
「こんにちは。」
マキちゃんは感じのいい子だった。
「な、暇なら一緒に遊ばない?
マキちゃんの友達も呼んでさ。
マキちゃん、サオリちゃん呼べば?
彼氏募集中だろ?」
余計なことを…と思ったが普通に女の子と遊ぶのもユキナリを忘れるキッカケになるかもしれないと思った。
別に男が好きなわけでもない。
しばらくしてサオリちゃんがやってきた。
モデルみたいに細くてスタイルがよくて
綺麗な子だった。
「美人だろ?」
オレたちはカラオケに行って
その後みんながウチに来てタコパなるものを一緒にやった。
サオリちゃんは美人の上に気を遣えるいい子だった。
楽しくはなかったが、気は紛れた。
オレは佐久間に感謝した。
「これ、リオくんのボード?」
「うん。まぁ。」
「ね、今度波に乗るとこ見に行っていい?」
「あー、うん。いいよ。
でも今は怪我してて無理なんだ。
あと2週間くらいは安静でさ。」
サオリちゃんを連れて行けばユキナリは安心するだろうか。
そんなことを考えてる自分が嫌だった。
オレはサオリちゃんと連絡先を交換して
サオリちゃんに誘われるまま
一緒に映画を観たり、
水族館に行ったりした。
誘うのはいつもサオリちゃんからで
オレの気持ちはやっぱりユキナリに囚われたままだった。
それから2週間がすぎてオレは久しぶりに海に行った。
ユキナリに逢いたくなかったけど
波に乗りに来たのに
海の家を避けるワケにも行かなかった。
少なくとも人として
心配してくれて何回かお見舞いに来てくれたオウスケさんには挨拶しないといけない。
「おー、リオ。復帰したか?
しかし白くなったなぁ。」
海で見ると余計に白く感じる。
そんなオレの視界にユキナリが入った。
相変わらずユキナリはオレの胸を苦しくした。
「よぉ、元気だったか?」
ユキナリは何にもなかったようにオレに挨拶した。
本当に嫌なヤツだ。
「リオくん!」
サオリちゃんがやってきた。
佐久間とマキちゃんも一緒だった。
ユキナリはサオリちゃんを見ていた。
「誰?」
オウスケさんがニヤニヤしながら聞いていた。
「あー、高校時代の同級生とその彼女とその友達。」
「へぇ。同級生の彼女のその友達は綺麗な子だなぁ。」
オウスケさんがオレの顔を覗き込んで揶揄うみたいにそう言った。
オレはユキナリの顔を見た。
ユキナリはオレを冷たい目で見ていた。
もうユキナリなんて忘れてるみたいに
オレはサオリちゃんと同じテーブルに座った。
「リオくん、波乗るとこ見せて。」
「もう暫く乗ってないから上手く乗れるかわかんないよ。」
「それでもいいよ。」
サオリちゃんみたいな子を好きになって付き合ったらきっと幸せになれるんだろう。
そう思ってもオレはユキナリの視線が気になった。
サオリちゃんには申し訳なかったけど
ユキナリが安心すればそれでいい。
もうユキナリには関わらない。
そう思ってたのにいざと顔を合わせると
ユキナリのことで頭がいっぱいになる。
オレはその想いをかき消すように波に向かっていった。
サオリちゃんは波に乗るオレを見て喜んでくれた。
「リオくん、カッコ良かったー!」
「いや、ダメダメだった。」
どんなに他の人に見つめられても
オレの気持ちが揺らぐことはない。
ユキナリの目の前に立つと
それだけで脚が震えた。
久しぶりに波に乗って疲れたと言って
オレは佐久間やサオリちゃんたちと別れ
自分の部屋に早々に戻った。
ユキナリへの気持ちが溢れてしまいそうで早く一人になりたかった。
「好きだよ。ユキナリさん…」
シャワーを浴びながらそう呟いた。
誰にも聞かれる事のない虚しい告白だった。