ABYSS〜First Love〜
ユキナリ
sideB-2
リオが女を連れてきた。
わかってる。
リオはきっとオレを欺きたいんだと。
その熱い瞳でオレを見て
彼女と話す自分を見せる。
バレバレだった。
オレがヤキモチ妬くとか思ってるのか
浅はかでリオらしい考え方だと思った。
それでもオレはリオが連れてきた女が気になった。
彼女の方は完全にリオに惚れてた。
だけどリオが好きなのはオレだけだ。
久しぶりに逢ったリオは白くなって
抱きしめたくなるほど愛しかった。
「ユキナリ、来週でお別れだな。」
オウスケさんに言われて気がついた。
オレはお盆休みが終わったら東京に戻る予定だった。
リオと顔を合わせるのはもう何日も無いだろう。
結局リオが怪我をして
数えるほどしかリオに逢わなかったのに
オレにはあのキスだけが残った。
それはきっと一生忘れられないであろうファーストキスだった。
「このまま帰っていいのか?」
オウスケさんに何もかも見透かされてる。
アキラさんとオウスケさんは先週大喧嘩して別れてしまったらしい。
人の心配してる場合か。
今日から新しいバイトが来た。
オレはタクミという新しいバイトの男と交代でお盆が明けたらもうここには来ない。
「よろしくお願いします。」
タクミはアイドルを目指していたらしいが
目が出ず、地元に戻ってきたらしい。
「え?何?そのビジュアルでアイドル目指さなかったの?
ユキナリくんだったら絶対すぐデビュー出来たと思う。」
オレの顔を見るなりタクミはそう言った。
タクミもそれなりにビジュアルはいいが
背が低く、華がない。
早めに諦めて良かった気がするが
それを本人に言うほど性格は悪くない。
「ねぇ、サッちゃんて彼氏居るのかな?」
夢破れたタクミは今度はサチの存在に夢を抱いたようだった。
「居ないよ。頑張ってみたら?」
オレとサチはあれから険悪だった。
タクミと上手くいってくれたら
オレへのトゲトゲしい態度も少しは緩和されるかもしれない。
「ユキナリくんは彼女居ないの?」
「俺のことはどうでもいいだろ?」
「モテるだろ?ここで何人食ったの?」
何人どころか未だかつて1人も経験がない童貞だと言ったらさぞかし驚いてくれるだろう。
ふとオレはリオのことを思った。
アイツはそういうこともう知ってるのだろうか?
それは男なんだろうが?
それとも女?
あー、やけに気になる。
リオが帰った後はずっとリオのことしか考えてなかった。
さっき連れてきた女の子を部屋に連れ込んだりしてないだろうか?
落ち着かない。
オレが好きでも他の子で気を紛らわす可能性がないわけじゃない。
アイツだって男だ。
嫉妬でどうにかなりそうで
仕事が手につかなかった。
雨が降ってきて今日は少し早く店を閉めることになった。
「今日はタクミの歓迎会をしよう。」
オウスケさんがそう言って
ミカさんの知り合いのバーでタクミの歓迎会が開かれた。
酒が入るとますますリオへの想いは強くなった。
タバコの本数も増えていった。
「それガラムっでヤツ?
スゴい匂いだなぁ。」
タクミが珍しそうにそのタバコをみている。
オレはパチパチと音を立ててその煙を吸い込む。
何をしても落ち着かなかった。
歓迎会が終わるとオレは自分の部屋には帰らず
いつの間にかリオの部屋の前まで来ていた。
いきなりオレが来たらリオはどうするんだろう?
もし彼女が居たらオレはどうしたらいいんだろう?
色々考えるとなかなかインターフォンを押せなかった。
部屋の前で5分くらい迷っていたが
リオとは1週間すればお別れだ。
もう二度とここには来ない。
最後だと思ってインターフォンを押した。
リオはオレの顔をカメラで確認したのか
慌ててドアを開けた。
「え?何?なんで来たの?」
女の子は居ないみたいだった。
ひとまずそれでホッとした。
「言っとこうと思って…
オレ、来週でバイト終わりなんだ。
お盆明けたら東京に戻る。」
「え?八月の終わりまでじゃないの?」
「まぁ。今日、新しいバイトが来た。」
リオはなかなかオレを部屋に誘わなかった。
オレは門前払いなのか?
「じゃあ、そういうことだから…
あと1週間くらい居るけどな。」
帰ろうとした時、リオに手を引っ張られた。
「待てよ。ここまで来て帰るのかよ?」
「お前、部屋に上がったら何かするだろ?」
「しねぇよ!」
リオに手を引かれてオレは部屋に入った。
自分に好意のある男と部屋に2人っきりというのはかなり緊張する。
力で負けるつもりはないが
もしそうなったらオレはリオを拒めるだろうか?
わかってる。
リオはきっとオレを欺きたいんだと。
その熱い瞳でオレを見て
彼女と話す自分を見せる。
バレバレだった。
オレがヤキモチ妬くとか思ってるのか
浅はかでリオらしい考え方だと思った。
それでもオレはリオが連れてきた女が気になった。
彼女の方は完全にリオに惚れてた。
だけどリオが好きなのはオレだけだ。
久しぶりに逢ったリオは白くなって
抱きしめたくなるほど愛しかった。
「ユキナリ、来週でお別れだな。」
オウスケさんに言われて気がついた。
オレはお盆休みが終わったら東京に戻る予定だった。
リオと顔を合わせるのはもう何日も無いだろう。
結局リオが怪我をして
数えるほどしかリオに逢わなかったのに
オレにはあのキスだけが残った。
それはきっと一生忘れられないであろうファーストキスだった。
「このまま帰っていいのか?」
オウスケさんに何もかも見透かされてる。
アキラさんとオウスケさんは先週大喧嘩して別れてしまったらしい。
人の心配してる場合か。
今日から新しいバイトが来た。
オレはタクミという新しいバイトの男と交代でお盆が明けたらもうここには来ない。
「よろしくお願いします。」
タクミはアイドルを目指していたらしいが
目が出ず、地元に戻ってきたらしい。
「え?何?そのビジュアルでアイドル目指さなかったの?
ユキナリくんだったら絶対すぐデビュー出来たと思う。」
オレの顔を見るなりタクミはそう言った。
タクミもそれなりにビジュアルはいいが
背が低く、華がない。
早めに諦めて良かった気がするが
それを本人に言うほど性格は悪くない。
「ねぇ、サッちゃんて彼氏居るのかな?」
夢破れたタクミは今度はサチの存在に夢を抱いたようだった。
「居ないよ。頑張ってみたら?」
オレとサチはあれから険悪だった。
タクミと上手くいってくれたら
オレへのトゲトゲしい態度も少しは緩和されるかもしれない。
「ユキナリくんは彼女居ないの?」
「俺のことはどうでもいいだろ?」
「モテるだろ?ここで何人食ったの?」
何人どころか未だかつて1人も経験がない童貞だと言ったらさぞかし驚いてくれるだろう。
ふとオレはリオのことを思った。
アイツはそういうこともう知ってるのだろうか?
それは男なんだろうが?
それとも女?
あー、やけに気になる。
リオが帰った後はずっとリオのことしか考えてなかった。
さっき連れてきた女の子を部屋に連れ込んだりしてないだろうか?
落ち着かない。
オレが好きでも他の子で気を紛らわす可能性がないわけじゃない。
アイツだって男だ。
嫉妬でどうにかなりそうで
仕事が手につかなかった。
雨が降ってきて今日は少し早く店を閉めることになった。
「今日はタクミの歓迎会をしよう。」
オウスケさんがそう言って
ミカさんの知り合いのバーでタクミの歓迎会が開かれた。
酒が入るとますますリオへの想いは強くなった。
タバコの本数も増えていった。
「それガラムっでヤツ?
スゴい匂いだなぁ。」
タクミが珍しそうにそのタバコをみている。
オレはパチパチと音を立ててその煙を吸い込む。
何をしても落ち着かなかった。
歓迎会が終わるとオレは自分の部屋には帰らず
いつの間にかリオの部屋の前まで来ていた。
いきなりオレが来たらリオはどうするんだろう?
もし彼女が居たらオレはどうしたらいいんだろう?
色々考えるとなかなかインターフォンを押せなかった。
部屋の前で5分くらい迷っていたが
リオとは1週間すればお別れだ。
もう二度とここには来ない。
最後だと思ってインターフォンを押した。
リオはオレの顔をカメラで確認したのか
慌ててドアを開けた。
「え?何?なんで来たの?」
女の子は居ないみたいだった。
ひとまずそれでホッとした。
「言っとこうと思って…
オレ、来週でバイト終わりなんだ。
お盆明けたら東京に戻る。」
「え?八月の終わりまでじゃないの?」
「まぁ。今日、新しいバイトが来た。」
リオはなかなかオレを部屋に誘わなかった。
オレは門前払いなのか?
「じゃあ、そういうことだから…
あと1週間くらい居るけどな。」
帰ろうとした時、リオに手を引っ張られた。
「待てよ。ここまで来て帰るのかよ?」
「お前、部屋に上がったら何かするだろ?」
「しねぇよ!」
リオに手を引かれてオレは部屋に入った。
自分に好意のある男と部屋に2人っきりというのはかなり緊張する。
力で負けるつもりはないが
もしそうなったらオレはリオを拒めるだろうか?