ABYSS〜First Love〜
オウスケさんの部屋からオレの部屋へユキナリと2人で帰った。
ユキナリのアパートは壁が薄いから
2人で逢う時はいつもオレのマンションだった。
「リオはホントにアキラさんが大事なんだな?
アキラさんのことあんな風に言うなんて。
大切な家族みたいな人って…アキラさんはホントに特別なんだな。」
ユキナリは最近自分の気持ちをストレートに言うようになった。
オレはそんなユキナリがますます愛おしかった。
「妬いてんの?」
ユキナリは少し怒ってるみたいでオレはユキナリを背後から抱きしめた。
「オレはさ、お前の何?」
ユキナリが恥ずかしそうに聞くからオレは嬉しくなった。
「ユキナリは恋人。オレが世界で1番愛する人。」
そしてオレたちは愛し合う。
誰にも見つからないように
2人だけでこのままこのベッドの中にいつまでも隠れていたいと願いながら。
だからその日の休みは一日中ユキナリとベッドの中にいた。
「ヤバい、もう夕方だ。
リオ、腹減らないの?」
「減らない。ユキナリで満たされてるから。」
「アホか。飯食いに行こう。」
ユキナリとシャワー浴びて外に出た。
辺りはもう真っ暗でオレはそっとユキナリと手を繋いだ。
「え?ダメだって。」
ユキナリはオレの手を払った。
「何で?オレたち恋人だろ?」
「お前、オレとのことバレてもいいわけ?
少しは自分の仕事の影響とか考えろよ。」
ユキナリが言うことも一理あるけど
人前で手を触れ合うことも許されないなんて嫌だった。
ユキナリを好きなことが悪いこととか間違ってることだと思いたくなかった。
でもユキナリの言う通り今は仕事上色んな制約がある。
今契約してる広告がいくつかあって
そういうことが全く影響しないとは言い切れなかった。
「ごめん。気をつけるよ。」
窮屈だったけど仕方ない。
今でもそういうことを嫌ったり差別したりする人は少なくない。
たとえ非難されなかったとしても
好奇の目で見られることはわりとある。
でもテレビに出てるわけでも
それほど売れてるわけでもないから
スキャンダルになるほどじゃないと思ってた。
ユキナリに言われて
友達みたいに接したが
気持ちは嘘をつけなくて
オレは時々ユキナリをつい愛しい目で見てしまう。
「リオくん、リオくんだよね?」
心の中で葛藤をしてると
バッタリとサオリちゃんに会った。
ユキナリと2人でいる時、思いがけず知り合いに会うと
悪いことしてるわけじゃないのに正直驚いてしまう。
そして隣にいるユキナリを見てサオリちゃんの連れの友達が一目で恋に落ちたのがわかった。
「広告見たよ。リオくん前よりもっとすごいカッコよくなっちゃってビックリしちゃった。」
サオリちゃんは相変わらずの褒め上手で
笑顔の素敵な子だった。
「あー、ありがとう。
サオリちゃんは今何してるの?
あ、佐久間は元気?
マキちゃんとは上手くいってる?」
オレは関心もなかったけどとにかく焦ってたから色々思うままに質問していた。
「私は今ね、ブティックで働いてて…
マキはもうすぐ佐久間くんと結婚するんだよ。」
「え?マジで?早いなー。」
「実はマキ、赤ちゃん出来ちゃって…」
「そっかー。そりゃ良かった。
あ、佐久間とマキちゃんに宜しくね。」
早々と立ち去りたかったが
サオリちゃんの連れがユキナリ目当てでオレたちを誘えと言わんばかりにサオリちゃんに目配せする。
「あの…リオくん、もし時間…」
そこまで言いかけた時、オレはサオリちゃんの言葉を遮った。
「ごめん、もう行かなきゃ。
打ち合わせ入ってて時間ないんだ。」
「え?こんな時間から?」
「うん。マネージャー待たせてるから。」
オレはユキナリをマネージャーにしてしまった。
結局外では食べないで部屋に戻って宅配を頼んだ。
「何だよ、マネージャーって。」
とユキナリは笑ったけどオレは必死だった。
「あの隣の子、絶対ユキナリに惚れてた。」
「てか、サオリちゃんもお前にまだ気があるよな?」
オレたちはやっぱり普通の恋人同士にはなれないんだろうか?
隠れて付き合って、こんなかっこいい自慢の彼氏のユキナリを誰にも紹介できないなんて
オレには辛すぎる。
「オレ、カミングアウトしたい。」
「え?」
「ダメかな?」
「カミングアウトって誰にするんだよ?」
「世の中の人全部に言いたい。
ユキナリが恋人だって自慢したい。」
ホントにそう思ったけどそれは許されないのだろうか?
ユキナリはそんなオレを抱きしめて言った。
「いいじゃん、秘密ってのも。」
「そっか。それもいいか。」
ユキナリがなかなか振り向いてくれなかったあの頃を思えば
それもそれで我慢できると思った。
そしてオレたちはまた愛し合う。
今はこの部屋の中だけが2人だけの世界だった。
ユキナリのアパートは壁が薄いから
2人で逢う時はいつもオレのマンションだった。
「リオはホントにアキラさんが大事なんだな?
アキラさんのことあんな風に言うなんて。
大切な家族みたいな人って…アキラさんはホントに特別なんだな。」
ユキナリは最近自分の気持ちをストレートに言うようになった。
オレはそんなユキナリがますます愛おしかった。
「妬いてんの?」
ユキナリは少し怒ってるみたいでオレはユキナリを背後から抱きしめた。
「オレはさ、お前の何?」
ユキナリが恥ずかしそうに聞くからオレは嬉しくなった。
「ユキナリは恋人。オレが世界で1番愛する人。」
そしてオレたちは愛し合う。
誰にも見つからないように
2人だけでこのままこのベッドの中にいつまでも隠れていたいと願いながら。
だからその日の休みは一日中ユキナリとベッドの中にいた。
「ヤバい、もう夕方だ。
リオ、腹減らないの?」
「減らない。ユキナリで満たされてるから。」
「アホか。飯食いに行こう。」
ユキナリとシャワー浴びて外に出た。
辺りはもう真っ暗でオレはそっとユキナリと手を繋いだ。
「え?ダメだって。」
ユキナリはオレの手を払った。
「何で?オレたち恋人だろ?」
「お前、オレとのことバレてもいいわけ?
少しは自分の仕事の影響とか考えろよ。」
ユキナリが言うことも一理あるけど
人前で手を触れ合うことも許されないなんて嫌だった。
ユキナリを好きなことが悪いこととか間違ってることだと思いたくなかった。
でもユキナリの言う通り今は仕事上色んな制約がある。
今契約してる広告がいくつかあって
そういうことが全く影響しないとは言い切れなかった。
「ごめん。気をつけるよ。」
窮屈だったけど仕方ない。
今でもそういうことを嫌ったり差別したりする人は少なくない。
たとえ非難されなかったとしても
好奇の目で見られることはわりとある。
でもテレビに出てるわけでも
それほど売れてるわけでもないから
スキャンダルになるほどじゃないと思ってた。
ユキナリに言われて
友達みたいに接したが
気持ちは嘘をつけなくて
オレは時々ユキナリをつい愛しい目で見てしまう。
「リオくん、リオくんだよね?」
心の中で葛藤をしてると
バッタリとサオリちゃんに会った。
ユキナリと2人でいる時、思いがけず知り合いに会うと
悪いことしてるわけじゃないのに正直驚いてしまう。
そして隣にいるユキナリを見てサオリちゃんの連れの友達が一目で恋に落ちたのがわかった。
「広告見たよ。リオくん前よりもっとすごいカッコよくなっちゃってビックリしちゃった。」
サオリちゃんは相変わらずの褒め上手で
笑顔の素敵な子だった。
「あー、ありがとう。
サオリちゃんは今何してるの?
あ、佐久間は元気?
マキちゃんとは上手くいってる?」
オレは関心もなかったけどとにかく焦ってたから色々思うままに質問していた。
「私は今ね、ブティックで働いてて…
マキはもうすぐ佐久間くんと結婚するんだよ。」
「え?マジで?早いなー。」
「実はマキ、赤ちゃん出来ちゃって…」
「そっかー。そりゃ良かった。
あ、佐久間とマキちゃんに宜しくね。」
早々と立ち去りたかったが
サオリちゃんの連れがユキナリ目当てでオレたちを誘えと言わんばかりにサオリちゃんに目配せする。
「あの…リオくん、もし時間…」
そこまで言いかけた時、オレはサオリちゃんの言葉を遮った。
「ごめん、もう行かなきゃ。
打ち合わせ入ってて時間ないんだ。」
「え?こんな時間から?」
「うん。マネージャー待たせてるから。」
オレはユキナリをマネージャーにしてしまった。
結局外では食べないで部屋に戻って宅配を頼んだ。
「何だよ、マネージャーって。」
とユキナリは笑ったけどオレは必死だった。
「あの隣の子、絶対ユキナリに惚れてた。」
「てか、サオリちゃんもお前にまだ気があるよな?」
オレたちはやっぱり普通の恋人同士にはなれないんだろうか?
隠れて付き合って、こんなかっこいい自慢の彼氏のユキナリを誰にも紹介できないなんて
オレには辛すぎる。
「オレ、カミングアウトしたい。」
「え?」
「ダメかな?」
「カミングアウトって誰にするんだよ?」
「世の中の人全部に言いたい。
ユキナリが恋人だって自慢したい。」
ホントにそう思ったけどそれは許されないのだろうか?
ユキナリはそんなオレを抱きしめて言った。
「いいじゃん、秘密ってのも。」
「そっか。それもいいか。」
ユキナリがなかなか振り向いてくれなかったあの頃を思えば
それもそれで我慢できると思った。
そしてオレたちはまた愛し合う。
今はこの部屋の中だけが2人だけの世界だった。