ABYSS〜First Love〜
オレはハワイに着いて色んなことを考えた、
ユキナリは今頃、社長から別れることを伝えられてるんだろうか?
社長に逆らえないのはもちろん到底払えない違約金のこともあるけど
ユキナリが何をされるかわからなくて怖かったからだ。
オレが別れないと突っぱねたら
ユキナリに迷惑がかかることはわかってた。
社長は良い人だけどビジネスの話になると甘くなかった。
オレはニュースになるほど有名人じゃないが、この話がスポンサーの耳に入ったら
これからの仕事に影響するかもしれない。
事務所はそれなりにお金も貰っているだろうし
それなりに厳しい仕事だった。
恋愛のことでとやかく言われたくないが
オレのイメージが変わって
消費者に何かしらの影響を与えてしまったら?
略奪愛で同性愛って世間的にはどんなイメージなんだろう?
とにかくどう思われるかわからなくて社長の言うことを聞くしかなかった。
第一、自分のことは仕方ないとしてもユキナリが傷つけられたらオレは立ち直れない。
世の中にはこういう事に異常に敏感で少数派を嫌う人がいる。
そして酷い差別を受けたりすることもある。
オレは業界では無名の一人の広告モデルだが
サーフィンで一度少しだけ名前が売れた過去がある。
このことを取り扱われて違う意味でまた有名になってしまうなんてこともあるだろうか?
差別のない世界とか言ってるが
差別がなくなることなんてあり得るのだろうか?
学校ではスクールカーストなるものがあり、
社会に出れば仕事のできないヤツはバカにされ
出来るヤツは杭を打たれる。
少数派は叩かれることが多い。
そっとしておいて欲しいのにマイノリティってだけで線引きされる気がした。
今の自分がこれから先どう扱われるのか不安でたまらなかった。
世の中はまだ珍しいものを見るようにオレとユキナリを見るだろう。
オレはなぜ人前に出る仕事を選んだのだろう。
結局オレはユキナリに連絡も出来ず
ハワイにいるしかなかった。
毎日ユキナリを思ったけど
もう手が届かない気がした。
サチはユキナリをどうするつもりだろう?
色々考えると怖かった。
マネージャーがしょっちゅう様子を見に来て
監視されてる気分だった。
社長から釘を刺されてるんだろう。
オレはサーフィンがしたかったが
思うようにやはり上手く立たなくて
とりあえずサーフボードの上に腹ばいになり
波に乗って風を感じたりしていた。
海への怖さはもう無かった。
というか自分を守るという概念が無くなったのだ。
ユキナリがいない世界なら命なんて惜しく無い。
ある日、アキラさんから電話がかかってきた。
「リオ、お前ユキナリにハワイに行くこと言わなかったのか?
「うん。ユキナリとはもう別れるよ。」
「え?なんで?」
アキラさんは信じられないって思ったんだろう。
「お前、つまんない意地張ってんならやめたほうがいいぞ。」
「意地じゃないです。
もういいんです。
オレらどうせ幸せにはなれませんから。」
「ユキナリは必死で探してるよ。」
「もうホントにいいんです。」
ユキナリの居ない世界は
オレにとっては何の意味もない気がした。
自分が空っぽになった気分だった。
今オレを支えてるのはこの海だけだった。
だけど昔みたいにサーフィンすらも上手くいかなくて辛い日々が続いた。
「リオ、もう少しここに居るか?」
仕事を終えていつでも帰れる準備は出来てたが
マネージャーからそう言われて
オレは少しホッとしてた。
「うん、今は帰りたくない。」
ユキナリに死ぬほど逢いたかったけど
顔を見たら別れられなくなりそうで
オレはここに残ることにした。
ユキナリは今頃、社長から別れることを伝えられてるんだろうか?
社長に逆らえないのはもちろん到底払えない違約金のこともあるけど
ユキナリが何をされるかわからなくて怖かったからだ。
オレが別れないと突っぱねたら
ユキナリに迷惑がかかることはわかってた。
社長は良い人だけどビジネスの話になると甘くなかった。
オレはニュースになるほど有名人じゃないが、この話がスポンサーの耳に入ったら
これからの仕事に影響するかもしれない。
事務所はそれなりにお金も貰っているだろうし
それなりに厳しい仕事だった。
恋愛のことでとやかく言われたくないが
オレのイメージが変わって
消費者に何かしらの影響を与えてしまったら?
略奪愛で同性愛って世間的にはどんなイメージなんだろう?
とにかくどう思われるかわからなくて社長の言うことを聞くしかなかった。
第一、自分のことは仕方ないとしてもユキナリが傷つけられたらオレは立ち直れない。
世の中にはこういう事に異常に敏感で少数派を嫌う人がいる。
そして酷い差別を受けたりすることもある。
オレは業界では無名の一人の広告モデルだが
サーフィンで一度少しだけ名前が売れた過去がある。
このことを取り扱われて違う意味でまた有名になってしまうなんてこともあるだろうか?
差別のない世界とか言ってるが
差別がなくなることなんてあり得るのだろうか?
学校ではスクールカーストなるものがあり、
社会に出れば仕事のできないヤツはバカにされ
出来るヤツは杭を打たれる。
少数派は叩かれることが多い。
そっとしておいて欲しいのにマイノリティってだけで線引きされる気がした。
今の自分がこれから先どう扱われるのか不安でたまらなかった。
世の中はまだ珍しいものを見るようにオレとユキナリを見るだろう。
オレはなぜ人前に出る仕事を選んだのだろう。
結局オレはユキナリに連絡も出来ず
ハワイにいるしかなかった。
毎日ユキナリを思ったけど
もう手が届かない気がした。
サチはユキナリをどうするつもりだろう?
色々考えると怖かった。
マネージャーがしょっちゅう様子を見に来て
監視されてる気分だった。
社長から釘を刺されてるんだろう。
オレはサーフィンがしたかったが
思うようにやはり上手く立たなくて
とりあえずサーフボードの上に腹ばいになり
波に乗って風を感じたりしていた。
海への怖さはもう無かった。
というか自分を守るという概念が無くなったのだ。
ユキナリがいない世界なら命なんて惜しく無い。
ある日、アキラさんから電話がかかってきた。
「リオ、お前ユキナリにハワイに行くこと言わなかったのか?
「うん。ユキナリとはもう別れるよ。」
「え?なんで?」
アキラさんは信じられないって思ったんだろう。
「お前、つまんない意地張ってんならやめたほうがいいぞ。」
「意地じゃないです。
もういいんです。
オレらどうせ幸せにはなれませんから。」
「ユキナリは必死で探してるよ。」
「もうホントにいいんです。」
ユキナリの居ない世界は
オレにとっては何の意味もない気がした。
自分が空っぽになった気分だった。
今オレを支えてるのはこの海だけだった。
だけど昔みたいにサーフィンすらも上手くいかなくて辛い日々が続いた。
「リオ、もう少しここに居るか?」
仕事を終えていつでも帰れる準備は出来てたが
マネージャーからそう言われて
オレは少しホッとしてた。
「うん、今は帰りたくない。」
ユキナリに死ぬほど逢いたかったけど
顔を見たら別れられなくなりそうで
オレはここに残ることにした。