ABYSS〜First Love〜
リオ
sideA-8
あれからしばらくして日本に戻ったが
オレは社長から言われるまま仕事して、
日本に戻ってもユキナリとは会わなかった。
ユキナリの勤めてるバーの近くまで行ってみたけど結局ユキナリの顔も見られないまま帰った。
ユキナリにはもう迷惑をかけたくなかった。
サチのことはケリがついたと
オウスケさんから聞いて知った。
社長は教えてくれず、その事を隠したまま
オレにはただユキナリに会うなと言い続けた。
そんな不信感もあってオレは次の広告の更新を全て断って全部の契約満了まで働き
事務所から離れた。
田舎に帰ろうかとも思ったが
今あの場所に帰ってもユキナリに会いたくなるだけだ。
ユキナリとの思い出がありすぎて
オレは違う場所を求めた。
湘南に家を借りて
海の近くの居酒屋で働いていた。
「え?リオくんですよね?」
オレのことを知ってる人がまだチラホラ居たりして、snsとかにあげられるのが嫌で
オレは「え?リオって誰?違いますよ。」と言ってしらばっくれてた。
昼は趣味で波乗りをする。
もちろん昔のようには行かないが
一時期よりはだいぶ現役に近づいてた。
ただ踏ん張りが効かずに長い間波に乗るのは難しかった。
ある日同じ居酒屋で働く女の子に言われた。
「彼女とかいないんですか?」
「あー、居ないです。」
「え?そうなんですか?
めっちゃカッコいいのに…
あの…良かったら今度お食事でも行きませんか?」
「え?」
「だからお食事でもご一緒にいかがですか?
彼女さんとか好きな人も居ないんですよね?」
彼女は付き合ってる人がいない=好きな人がいないと思ってるらしいが
それは違う。
オレにはずっとユキナリがいる。
離れててもユキナリが好きで
この気持ちだけはどうしても消すことが出来なかった。
「好きな人は居ます。だからすいません。」
「え?片想いってことですか?」
「ま、そうですね。」
「告白とかしないんですか?」
「あー、まぁ。」」
女の子はキョトンとした顔をしてる。
世の中には好きでもどうにもならないことがあるって彼女はまだ知らないんだろう。
オレもあの時まで知らなかった。
「そうなんですね。
わかりました。
彼女と結ばれるといいですね。」
彼女って…まぁ普通はそう思うだろうけど…
ユキナリは今、どこでどうしてるんだろう?
オレなんか忘れて彼女とか出来てるかもしれないとか
考えるだけで胸が苦しくなった。
そりゃあれだけの容姿だから女の子が放っておかないだろう。
オレは誰とも仲良くならず
淡々と仕事を続けていると
ある日店長が心配して声をかけてくれた。
「リオって友達いないの?
全然遊びに行ったりしてないよね?
休みも大抵前の海に居るし…。」
「まぁそうですね。昔から友達作るって習慣なくて…
海さえあれば生きていけるっていうかー」
「マジで?女の子と付き合いたいとかデートしたいとか思わないわけ?」
「思わないですねぇ。」
「もしかしてリオってチェリーとか?」
「あー、恋人居たことあります。
もう3年前ですけどね。」
「だよなぁ。
そんだけいい男なんだし元アスリートでモデルだし、選びたい放題だったでしょ?」
「そうでもないですよ。
それにモデル時代は契約とかキツくて当時付き合ってた人と別れさせられたりで
色々面倒になっちゃって…」
そんな話をするとユキナリのことをどうしてもまだ思い出してしまう。
「女の子紹介しようか?」
親切で言ってくれてるのはわかるが
そういうお節介は本当にウザかった。
「すいません、そういうの興味なくて…」
「いや、マズイよ。このままじゃ…。」
オレはいつも笑って誤魔化して
そしていつもユキナリを思った。
オレは社長から言われるまま仕事して、
日本に戻ってもユキナリとは会わなかった。
ユキナリの勤めてるバーの近くまで行ってみたけど結局ユキナリの顔も見られないまま帰った。
ユキナリにはもう迷惑をかけたくなかった。
サチのことはケリがついたと
オウスケさんから聞いて知った。
社長は教えてくれず、その事を隠したまま
オレにはただユキナリに会うなと言い続けた。
そんな不信感もあってオレは次の広告の更新を全て断って全部の契約満了まで働き
事務所から離れた。
田舎に帰ろうかとも思ったが
今あの場所に帰ってもユキナリに会いたくなるだけだ。
ユキナリとの思い出がありすぎて
オレは違う場所を求めた。
湘南に家を借りて
海の近くの居酒屋で働いていた。
「え?リオくんですよね?」
オレのことを知ってる人がまだチラホラ居たりして、snsとかにあげられるのが嫌で
オレは「え?リオって誰?違いますよ。」と言ってしらばっくれてた。
昼は趣味で波乗りをする。
もちろん昔のようには行かないが
一時期よりはだいぶ現役に近づいてた。
ただ踏ん張りが効かずに長い間波に乗るのは難しかった。
ある日同じ居酒屋で働く女の子に言われた。
「彼女とかいないんですか?」
「あー、居ないです。」
「え?そうなんですか?
めっちゃカッコいいのに…
あの…良かったら今度お食事でも行きませんか?」
「え?」
「だからお食事でもご一緒にいかがですか?
彼女さんとか好きな人も居ないんですよね?」
彼女は付き合ってる人がいない=好きな人がいないと思ってるらしいが
それは違う。
オレにはずっとユキナリがいる。
離れててもユキナリが好きで
この気持ちだけはどうしても消すことが出来なかった。
「好きな人は居ます。だからすいません。」
「え?片想いってことですか?」
「ま、そうですね。」
「告白とかしないんですか?」
「あー、まぁ。」」
女の子はキョトンとした顔をしてる。
世の中には好きでもどうにもならないことがあるって彼女はまだ知らないんだろう。
オレもあの時まで知らなかった。
「そうなんですね。
わかりました。
彼女と結ばれるといいですね。」
彼女って…まぁ普通はそう思うだろうけど…
ユキナリは今、どこでどうしてるんだろう?
オレなんか忘れて彼女とか出来てるかもしれないとか
考えるだけで胸が苦しくなった。
そりゃあれだけの容姿だから女の子が放っておかないだろう。
オレは誰とも仲良くならず
淡々と仕事を続けていると
ある日店長が心配して声をかけてくれた。
「リオって友達いないの?
全然遊びに行ったりしてないよね?
休みも大抵前の海に居るし…。」
「まぁそうですね。昔から友達作るって習慣なくて…
海さえあれば生きていけるっていうかー」
「マジで?女の子と付き合いたいとかデートしたいとか思わないわけ?」
「思わないですねぇ。」
「もしかしてリオってチェリーとか?」
「あー、恋人居たことあります。
もう3年前ですけどね。」
「だよなぁ。
そんだけいい男なんだし元アスリートでモデルだし、選びたい放題だったでしょ?」
「そうでもないですよ。
それにモデル時代は契約とかキツくて当時付き合ってた人と別れさせられたりで
色々面倒になっちゃって…」
そんな話をするとユキナリのことをどうしてもまだ思い出してしまう。
「女の子紹介しようか?」
親切で言ってくれてるのはわかるが
そういうお節介は本当にウザかった。
「すいません、そういうの興味なくて…」
「いや、マズイよ。このままじゃ…。」
オレはいつも笑って誤魔化して
そしていつもユキナリを思った。