妖怪探偵☆雪女の雪華が参る!! 「俺の嫁になれ」と美鬼の茨木童子に迫られちゃって、私そんなの困ります! ――の巻。
第12話 河童の水虎の花嫁候補事情
河童のスイコのお屋敷を出た私たちは、とりあえず妖怪探偵事務所に戻る事になった。
出発〜! とか言って勢いをつけた私は肩透かしな気分。
「雪華、今日のところは帰らないとね」
「うぅっ。せっかくやる気がみなぎっているのに〜」
時刻は午後6時を回っている。
銀星の言うことも、もっともだ。
あんまり帰りが遅くなると、パパとママに怒られちゃう。
私たちは河童のスイコにお土産をたくさん風呂敷で持たされ(スイコの屋敷で出されたけど食べる時間がなかったご馳走の山)、帰り道は大荷物だった。
背中に小さめの風呂敷包みをくくりつけた、わん太が先頭を小走りに行く。
狛犬だから、私と銀星を守る気満々なんだよね。
その姿はどこか誇らしげで、嬉しそう。
とたとたぽてぽて一生懸命走る、子犬の姿のわん太は可愛いっ。
妖怪探偵事務所に行ったら、さっきスイコや小河童から聞いた情報を元に、ひょうたんを盗んだ小河童の行方に見当をつけてみる。
そしたら、今日は解散。
「俺は水虎宛に来たある手紙を預かっている」
「えっ、スイコはそんな手紙のこと言ってた?」
岩蔵の洞穴の出入り口に着いた時に、私と銀星は茨木先輩のジャケットから出された手紙を受け取る。
和紙の紙、形は果たし状みたい。
「アンタ脅し取ったのか?」
「水虎が渡して来たんだ。君たちより、俺の方が水虎とは付き合いが長いからね。いくらか信頼してるのだろう」
「ねぇ、なんて書いてあるんですか?」
私は手紙の中身に興味津々!
「読んでみたら? 雪華さん、君にも関係があるようだからね」
「わ、私に?」
立ち止まって、風呂敷包みは銀星に持ってもらい、さっそく手紙を開け読んでみる。
銀星ものぞきこむ。
「なななっ! 許さんっ」
銀星が怒り出しちゃった。
それもそのはず、差出人はひょうたんを盗んだ小河童かららしくて、内容はこんな感じ――。
『水虎様へ
酒呑童子のひょうたんと雪女の雪華なる者を花嫁候補として必ず差し出します。
あと数名、候補がおりますよ。
必ずや水虎様のお眼鏡に叶います女子《おなご》を見つけ、連れてまいりますので、楽しみにお待ち下さいませ。
それから我らの仲間になってくれる心強い者と出会いましたよ。
しばし時を要します。
実は今はある輩にちょっと追われておりますものですから。
いずれ追ってまた、近いうちに文を出しますよ。
親分、待ってて下さい。
河童里村の河三郎より』
ふ〜ん、スイコって水虎って書くんだ。私、今知ったよ〜、ははは。
……って、それより、何よこれ!
私の意見も気持ちもまる無視じゃない。
「もうっ。私が、花嫁候補って……。あの時小河童が言っていた『親分が喜ぶ』って、親分は水虎のことかぁ」
「冗談じゃない。雪華は雪華の意志で相手を選ぶべきだ」
「君、分かってるじゃないか、銀星くん。そうさ、雪華さんは雪華さんが好きになった相手と結ばれるべき。俺が必ず……」
「何いってんだ、茨木先輩。雪華がアンタを選ぶわけないだろう? 僕だって雪華に必ず好きになって……」
銀星と茨木先輩の二人がまくし立てるようにやいやい言い合いを始めたので、私は構わず歩き進める。
「遅くなっちゃうからっ! 急ごう。二人ともっ、帰るよ〜」
それにしても、私以外にも水虎の花嫁候補として何人かの女の子に目につけてるみたいだった。
早く小河童を見つけ出さないと。
その花嫁候補たちの気持ちなんか聞かずに、無理矢理どこかへさらって行くつもりかも知れない。
……それに。
仲間と出会ったって、どんな妖怪だろう?
私は銀星や茨木先輩には言わなかったけれど、どこか不穏を感じてて、ざわざわと胸が騒いでいた。
出発〜! とか言って勢いをつけた私は肩透かしな気分。
「雪華、今日のところは帰らないとね」
「うぅっ。せっかくやる気がみなぎっているのに〜」
時刻は午後6時を回っている。
銀星の言うことも、もっともだ。
あんまり帰りが遅くなると、パパとママに怒られちゃう。
私たちは河童のスイコにお土産をたくさん風呂敷で持たされ(スイコの屋敷で出されたけど食べる時間がなかったご馳走の山)、帰り道は大荷物だった。
背中に小さめの風呂敷包みをくくりつけた、わん太が先頭を小走りに行く。
狛犬だから、私と銀星を守る気満々なんだよね。
その姿はどこか誇らしげで、嬉しそう。
とたとたぽてぽて一生懸命走る、子犬の姿のわん太は可愛いっ。
妖怪探偵事務所に行ったら、さっきスイコや小河童から聞いた情報を元に、ひょうたんを盗んだ小河童の行方に見当をつけてみる。
そしたら、今日は解散。
「俺は水虎宛に来たある手紙を預かっている」
「えっ、スイコはそんな手紙のこと言ってた?」
岩蔵の洞穴の出入り口に着いた時に、私と銀星は茨木先輩のジャケットから出された手紙を受け取る。
和紙の紙、形は果たし状みたい。
「アンタ脅し取ったのか?」
「水虎が渡して来たんだ。君たちより、俺の方が水虎とは付き合いが長いからね。いくらか信頼してるのだろう」
「ねぇ、なんて書いてあるんですか?」
私は手紙の中身に興味津々!
「読んでみたら? 雪華さん、君にも関係があるようだからね」
「わ、私に?」
立ち止まって、風呂敷包みは銀星に持ってもらい、さっそく手紙を開け読んでみる。
銀星ものぞきこむ。
「なななっ! 許さんっ」
銀星が怒り出しちゃった。
それもそのはず、差出人はひょうたんを盗んだ小河童かららしくて、内容はこんな感じ――。
『水虎様へ
酒呑童子のひょうたんと雪女の雪華なる者を花嫁候補として必ず差し出します。
あと数名、候補がおりますよ。
必ずや水虎様のお眼鏡に叶います女子《おなご》を見つけ、連れてまいりますので、楽しみにお待ち下さいませ。
それから我らの仲間になってくれる心強い者と出会いましたよ。
しばし時を要します。
実は今はある輩にちょっと追われておりますものですから。
いずれ追ってまた、近いうちに文を出しますよ。
親分、待ってて下さい。
河童里村の河三郎より』
ふ〜ん、スイコって水虎って書くんだ。私、今知ったよ〜、ははは。
……って、それより、何よこれ!
私の意見も気持ちもまる無視じゃない。
「もうっ。私が、花嫁候補って……。あの時小河童が言っていた『親分が喜ぶ』って、親分は水虎のことかぁ」
「冗談じゃない。雪華は雪華の意志で相手を選ぶべきだ」
「君、分かってるじゃないか、銀星くん。そうさ、雪華さんは雪華さんが好きになった相手と結ばれるべき。俺が必ず……」
「何いってんだ、茨木先輩。雪華がアンタを選ぶわけないだろう? 僕だって雪華に必ず好きになって……」
銀星と茨木先輩の二人がまくし立てるようにやいやい言い合いを始めたので、私は構わず歩き進める。
「遅くなっちゃうからっ! 急ごう。二人ともっ、帰るよ〜」
それにしても、私以外にも水虎の花嫁候補として何人かの女の子に目につけてるみたいだった。
早く小河童を見つけ出さないと。
その花嫁候補たちの気持ちなんか聞かずに、無理矢理どこかへさらって行くつもりかも知れない。
……それに。
仲間と出会ったって、どんな妖怪だろう?
私は銀星や茨木先輩には言わなかったけれど、どこか不穏を感じてて、ざわざわと胸が騒いでいた。