妖怪探偵☆雪女の雪華が参る!! 「俺の嫁になれ」と美鬼の茨木童子に迫られちゃって、私そんなの困ります! ――の巻。
第14話 ファーストキスが奪われるっ!?
まつげ長いな、茨木先輩。
……そんなこと思ってる場合じゃなかった。
このままじゃ、茨木先輩にキスされちゃうよ〜。
ゆっくりと茨木先輩の顔が近づいてきて、私の心臓がドクンッと脈打つ。
ドキドキ、焦る気持ち。
だって!
――ファーストキスは大事な記念だもん。
好きか嫌いかなんにも思わないか、茨木先輩への自分の気持ちもちゃんと分かってない私が、こんな風にされるがままにキスしていいわけないよ。
そりゃあ、気持ちがどうなるかなんて分からないけれど。
ひょんなきっかけで恋に落ちたり、自分の中の大切な想いに気づいたりするって言うじゃない?
だけどね。
今は誰にも恋してないよ、私。
ファーストキスは、いつか大好きな人としたいな。
私だってどこかで憧れていた。
ちゃんと告白して、お付き合いした人と素敵な場所で。
ママはパパと今でも熱々ラブラブで、付き合いたての頃の話もよくしてくれる。
初デートは学校からの帰りに、映画を観て海の近くの喫茶店に行って、浜辺で初めて手を繋いだって言ってたなぁ。
夕日がとっても綺麗だったんだって。
『好きな人と見るから余計に夕焼けが美しく感じたのかもね。大好きなパパとの初めてのデートはほんとにドキドキだったわぁ。雪華もいつか大好きな人とデートしたら、ママのドキドキが分かる時がくるわよ? いつか出会う運命の人。ううん、雪華はもう巡り会っているかもしれない』
運命の人。
私にもそんな素敵な恋が出来る相手がいるのかな〜。
今ここでファーストキスを茨木先輩としちゃったら、私、後悔すると思う。その運命の相手にも悪い気がするよ。
ど、どうしよう。
体が動かない!
体の内側から妖気を爆発させたいのに、それも出来ない。
スローモーションみたいに時が進むの。
「俺とキスしたらきっと君も俺の虜になるよ」
もう、だめかも。
私が覚悟を決めて、目をつむった時……。
――ガラガラガラッ!!
生徒会室の引き戸が勢いよく開く音がした。
「何やってんだっ!」
「ぎ、銀星!」
銀星が踏み込んできて、私と茨木先輩をベリっと剥がすように両手でそれぞれの肩を引っ張った。
瞬間、体の自由が利くようになった。
銀星のおかげで妖術が解けてみたい。
「ふふふっ。来ると思ったよ、銀星くん」
「大丈夫か? 雪華?」
私は茨木先輩から距離をとろうと椅子から立ち上がる。
茨木先輩の妖術の影響が残ってて、ちょっとふらっとしたら、銀星が抱きとめてくれた。
銀星は心配そうな顔をして私を見ている。
「油断も隙もあったもんじゃない。生徒会室の方から妖気が噴出してきたから、絶対にろくでもないことになっていると思った。アンタ、雪華に無理矢理こんなことして、どういうつもりだよっ」
わわっ。
睨みあう銀星と茨木先輩の間には、バチバチと散る火花がが見えそう。凄い迫力がある。
「まずは恋人の形から入ろうと思ってね。いずれは雪華さんは俺の花嫁になるんだから」
だ、だからっていきなりキスだなんて困るよ。
「私は茨木先輩とはお付き合いしないし、花嫁にもなりません」
「……雪華さん」
ちょっとしょんぼりとした茨木先輩を見ると、胸がきゅうっと痛んで可哀想に思えてくる。
「雪華。そんな奴に同情することないからな」
銀星の伊達メガネの奥の瞳は怒っていた。
「なぁ? 君に雪華さんの恋愛を邪魔だてしたり、どうこう言う権利があるのか? 君たちは恋人同士でもないのに」
「あるさ。雪華と僕とは幼馴染み。ずっと一緒に育ってきた兄妹にも近しい存在なんだから」
そうだよね。私と銀星は生まれた時からずっとそばにいた。
同じ半妖同士っていう境遇もある。
「自分だけが雪華さんと幼馴染みで特別なポジションだなんて思うなよ?」
茨木先輩はそういって生徒会室を出て行ってしまった。
あれ?
どう言う意味だろう。
それじゃまるで、茨木先輩も私と特別な何かの関係があるみたいじゃない?
私は首をかしげていたの。
……そんなこと思ってる場合じゃなかった。
このままじゃ、茨木先輩にキスされちゃうよ〜。
ゆっくりと茨木先輩の顔が近づいてきて、私の心臓がドクンッと脈打つ。
ドキドキ、焦る気持ち。
だって!
――ファーストキスは大事な記念だもん。
好きか嫌いかなんにも思わないか、茨木先輩への自分の気持ちもちゃんと分かってない私が、こんな風にされるがままにキスしていいわけないよ。
そりゃあ、気持ちがどうなるかなんて分からないけれど。
ひょんなきっかけで恋に落ちたり、自分の中の大切な想いに気づいたりするって言うじゃない?
だけどね。
今は誰にも恋してないよ、私。
ファーストキスは、いつか大好きな人としたいな。
私だってどこかで憧れていた。
ちゃんと告白して、お付き合いした人と素敵な場所で。
ママはパパと今でも熱々ラブラブで、付き合いたての頃の話もよくしてくれる。
初デートは学校からの帰りに、映画を観て海の近くの喫茶店に行って、浜辺で初めて手を繋いだって言ってたなぁ。
夕日がとっても綺麗だったんだって。
『好きな人と見るから余計に夕焼けが美しく感じたのかもね。大好きなパパとの初めてのデートはほんとにドキドキだったわぁ。雪華もいつか大好きな人とデートしたら、ママのドキドキが分かる時がくるわよ? いつか出会う運命の人。ううん、雪華はもう巡り会っているかもしれない』
運命の人。
私にもそんな素敵な恋が出来る相手がいるのかな〜。
今ここでファーストキスを茨木先輩としちゃったら、私、後悔すると思う。その運命の相手にも悪い気がするよ。
ど、どうしよう。
体が動かない!
体の内側から妖気を爆発させたいのに、それも出来ない。
スローモーションみたいに時が進むの。
「俺とキスしたらきっと君も俺の虜になるよ」
もう、だめかも。
私が覚悟を決めて、目をつむった時……。
――ガラガラガラッ!!
生徒会室の引き戸が勢いよく開く音がした。
「何やってんだっ!」
「ぎ、銀星!」
銀星が踏み込んできて、私と茨木先輩をベリっと剥がすように両手でそれぞれの肩を引っ張った。
瞬間、体の自由が利くようになった。
銀星のおかげで妖術が解けてみたい。
「ふふふっ。来ると思ったよ、銀星くん」
「大丈夫か? 雪華?」
私は茨木先輩から距離をとろうと椅子から立ち上がる。
茨木先輩の妖術の影響が残ってて、ちょっとふらっとしたら、銀星が抱きとめてくれた。
銀星は心配そうな顔をして私を見ている。
「油断も隙もあったもんじゃない。生徒会室の方から妖気が噴出してきたから、絶対にろくでもないことになっていると思った。アンタ、雪華に無理矢理こんなことして、どういうつもりだよっ」
わわっ。
睨みあう銀星と茨木先輩の間には、バチバチと散る火花がが見えそう。凄い迫力がある。
「まずは恋人の形から入ろうと思ってね。いずれは雪華さんは俺の花嫁になるんだから」
だ、だからっていきなりキスだなんて困るよ。
「私は茨木先輩とはお付き合いしないし、花嫁にもなりません」
「……雪華さん」
ちょっとしょんぼりとした茨木先輩を見ると、胸がきゅうっと痛んで可哀想に思えてくる。
「雪華。そんな奴に同情することないからな」
銀星の伊達メガネの奥の瞳は怒っていた。
「なぁ? 君に雪華さんの恋愛を邪魔だてしたり、どうこう言う権利があるのか? 君たちは恋人同士でもないのに」
「あるさ。雪華と僕とは幼馴染み。ずっと一緒に育ってきた兄妹にも近しい存在なんだから」
そうだよね。私と銀星は生まれた時からずっとそばにいた。
同じ半妖同士っていう境遇もある。
「自分だけが雪華さんと幼馴染みで特別なポジションだなんて思うなよ?」
茨木先輩はそういって生徒会室を出て行ってしまった。
あれ?
どう言う意味だろう。
それじゃまるで、茨木先輩も私と特別な何かの関係があるみたいじゃない?
私は首をかしげていたの。