妖怪探偵☆雪女の雪華が参る!! 「俺の嫁になれ」と美鬼の茨木童子に迫られちゃって、私そんなの困ります! ――の巻。
第17話 葵ちゃんと稲荷神社の宮司 神獣朱雀登場
稲荷神社に到着すると、私と葵ちゃんは急な階段を登る。
見えてきた赤い立派な鳥居の袂《たもと》では、神職の服装に着替えてちょっといつもより凛々しく映る銀星が私を待っていた。
「銀星〜!」
「雪華」
私が銀星に手を振ると、銀星も控えめに手を振り返してくれる。
さっきまで一緒にいたけど、銀星に会えると嬉しくて、ついぶんぶんと手を振ったりはしゃいじゃう。
私の脳裏にはいつも、銀星といえばもふもふの小狐の時の姿があって。
銀星を頼りにしている半面、可愛いペットもしくは弟みたいにも思っている。私が銀星に可愛いって言うとね、怒って拗ねちゃうから口にはしないけど、だって可愛いんだもん。
……でも、ペットはないか〜。銀星、ごめん。えへへ。
私は心のなかで謝った。
銀星は首を傾げてた。
「雪華、いらっしゃい。葵さんもいらっしゃい。……雪華、そんなに僕の顔を見て。なに、なに? なんか付いてる?」
「な、何でもない! 何でもないよ。銀星の神職姿が久々だったから。はいこれ、ママから銀星に晩御飯の差し入れだよ」
私は銀星にママから預かったおにぎりと肉じゃがの入ったトートバッグを渡す。
「あぁ、父さんが用事で出掛けたから、後で代わりに風森神殿で守護の舞を踊るんだ。ありがとう、晩御飯のおかず。助かるよ」
「銀星くん、私も来ちゃった。うふふっ、お邪魔だったかしら?」
「あっ、葵さん。……お邪魔なんて。そんな事はないです」
「いいのいいの。お邪魔虫はさっさと退散するからね〜。うんうん、今日も銀星くんは宮司の服似合ってるね。さて、私はえ〜っと」
葵ちゃんは神社の境内をキョロキョロ見渡して、《《彼》》を探しているみたい。
「緋勇〜!」
「葵っ」
葵ちゃんが駆け出した先には、竹箒で境内の掃き掃除をしている緋勇くんがいた。
緋勇くんは、葵ちゃんの彼氏で稲荷神社の宮司さんをやってる。
彼は半分あやかし、半分は人間です。
緋勇くんは四神獣のうちの一人で、空飛ぶ姿がカッコいい朱雀なんだよ。
今は人間の姿だけど、変身すると翼が大きくて力強い鳥になる。
小さい頃から私も銀星も、緋勇くんの背中にたまに乗せてもらってるの。私が泣いてると、よく空の散歩に連れて行ってくれる優しいお兄ちゃん。
緋勇くんのお母さんは人間で神獣使いの巫女で、お父さんが朱雀だったんだって。
妖怪ともまたちょっと違うかもだけど、半妖っていうくくりにいる。
私と立場が似ているんだ。
私も、緋勇くんも、神獣の子供だから。
神獣って種族側で見て、言ってみたら一緒だよね。
――でも、私って何なんだろう?
ふと、疑問に思っちゃう。
私のママは雪女という妖かしで。
そう、ママのママが雪女だから。
ママのパパ(私から見たらおじいちゃん)は人間だ。
私のパパは、神獣の生まれ変わりだけど人間。
私は人間でもなく、神獣でもない。
一応は雪女だけど、ほんとに雪女なのかな?
頭がぐるぐるくらくらする。
立場や見方を変えると、私は何者にも見えるってこと?
雪女の血を継ぎ、人間の血を持ち、神獣の子でもある。
「どうしたの、雪華? 難しい顔して」
「ううん、何でもないよ」
「雪華と銀星、妖怪探偵団はどう? 今はどんな事件を追ってるの」
緋勇くんが私に話しかけた時、狛犬のわん太が社務所の扉から飛び出して来た。
見えてきた赤い立派な鳥居の袂《たもと》では、神職の服装に着替えてちょっといつもより凛々しく映る銀星が私を待っていた。
「銀星〜!」
「雪華」
私が銀星に手を振ると、銀星も控えめに手を振り返してくれる。
さっきまで一緒にいたけど、銀星に会えると嬉しくて、ついぶんぶんと手を振ったりはしゃいじゃう。
私の脳裏にはいつも、銀星といえばもふもふの小狐の時の姿があって。
銀星を頼りにしている半面、可愛いペットもしくは弟みたいにも思っている。私が銀星に可愛いって言うとね、怒って拗ねちゃうから口にはしないけど、だって可愛いんだもん。
……でも、ペットはないか〜。銀星、ごめん。えへへ。
私は心のなかで謝った。
銀星は首を傾げてた。
「雪華、いらっしゃい。葵さんもいらっしゃい。……雪華、そんなに僕の顔を見て。なに、なに? なんか付いてる?」
「な、何でもない! 何でもないよ。銀星の神職姿が久々だったから。はいこれ、ママから銀星に晩御飯の差し入れだよ」
私は銀星にママから預かったおにぎりと肉じゃがの入ったトートバッグを渡す。
「あぁ、父さんが用事で出掛けたから、後で代わりに風森神殿で守護の舞を踊るんだ。ありがとう、晩御飯のおかず。助かるよ」
「銀星くん、私も来ちゃった。うふふっ、お邪魔だったかしら?」
「あっ、葵さん。……お邪魔なんて。そんな事はないです」
「いいのいいの。お邪魔虫はさっさと退散するからね〜。うんうん、今日も銀星くんは宮司の服似合ってるね。さて、私はえ〜っと」
葵ちゃんは神社の境内をキョロキョロ見渡して、《《彼》》を探しているみたい。
「緋勇〜!」
「葵っ」
葵ちゃんが駆け出した先には、竹箒で境内の掃き掃除をしている緋勇くんがいた。
緋勇くんは、葵ちゃんの彼氏で稲荷神社の宮司さんをやってる。
彼は半分あやかし、半分は人間です。
緋勇くんは四神獣のうちの一人で、空飛ぶ姿がカッコいい朱雀なんだよ。
今は人間の姿だけど、変身すると翼が大きくて力強い鳥になる。
小さい頃から私も銀星も、緋勇くんの背中にたまに乗せてもらってるの。私が泣いてると、よく空の散歩に連れて行ってくれる優しいお兄ちゃん。
緋勇くんのお母さんは人間で神獣使いの巫女で、お父さんが朱雀だったんだって。
妖怪ともまたちょっと違うかもだけど、半妖っていうくくりにいる。
私と立場が似ているんだ。
私も、緋勇くんも、神獣の子供だから。
神獣って種族側で見て、言ってみたら一緒だよね。
――でも、私って何なんだろう?
ふと、疑問に思っちゃう。
私のママは雪女という妖かしで。
そう、ママのママが雪女だから。
ママのパパ(私から見たらおじいちゃん)は人間だ。
私のパパは、神獣の生まれ変わりだけど人間。
私は人間でもなく、神獣でもない。
一応は雪女だけど、ほんとに雪女なのかな?
頭がぐるぐるくらくらする。
立場や見方を変えると、私は何者にも見えるってこと?
雪女の血を継ぎ、人間の血を持ち、神獣の子でもある。
「どうしたの、雪華? 難しい顔して」
「ううん、何でもないよ」
「雪華と銀星、妖怪探偵団はどう? 今はどんな事件を追ってるの」
緋勇くんが私に話しかけた時、狛犬のわん太が社務所の扉から飛び出して来た。