妖怪探偵☆雪女の雪華が参る!! 「俺の嫁になれ」と美鬼の茨木童子に迫られちゃって、私そんなの困ります! ――の巻。
第19話 凪ちゃん捜索に向かう
「じゃ、私達は凪ちゃんを捜しに行くから。葵ちゃんは八束じいちゃんのことよろしくね」
「うん、任せて。みんな気をつけてね」
意気消沈している河童のご隠居様の八束じいちゃんのことは、葵ちゃんと稲荷神社の狛犬や小鬼達に任せることにした。
私と銀星とわん太は朱雀の姿になった緋勇くんの背中に乗り、小河童がいそうな場所に向かう。
「ハーブ園と夏蜜柑の木があって醤油の蔵がある場所って、新しく風森町に出来た道の駅だよね」
「裏手は森になってるからね。妖怪にも居心地が良いんだろうと思う」
「雪華、銀星。なぁ、あの手紙から霊気もしてたろ? 魂が浮かばれなかった亡霊や黒妖が絡んでるかもな。二人のことは俺が守ってやるけど、敵は存外多いかもしれないぞ。充分気をつけろよ」
「ひ、緋勇くん。今、亡霊って言った?」
「……言った。あっ、雪華は幽霊が怖いんだっけ?」
「僕が雪華を守るから、大丈夫だ」
「だだだ、大丈夫だよ。私、相手が幽霊だって戦うから」
「銀星、なんか言ったかぁ?」
「いや、ひとりごと……」
私は幽霊がダメなの。
雪女で妖怪だからって、平気なわけないじゃない。
だ、だって死んでるんだよ?
あのね、妖怪は生きてるの。
死んでから妖怪に生まれ変わることもあるらしいけど、妖怪は生きてるんです。
幽霊は実体のない霊気の塊、もしくは魂がもやもやしたやつでしょ?
ゾゾーっとする。
背中に冷たく悪寒が走る。
私はそりゃあ純粋に人間じゃないし半分は妖怪だから、幽霊寄りだなんて言う人がいると思うけど、私はオバケも肝試しも怪談話も、ついでにゾンビもてんでダメで大の苦手なんだからぁ〜。
「雪華さまは幽霊が苦手なのですか?」
狛犬のわん太がくりくりとした瞳で私を見上げる。
可愛いっ。
私はわん太のかわゆさに癒やされる。
「そ、そうなんだ。私は幽霊は苦手なの」
私は怖さを紛らわすために、わん太を抱き上げむぎゅ〜っと抱きしめた。
「ワタクシも雪華さまをお守りします。それがお館さまとの約束なのです」
「私を? 銀星もでしょ?」
「はい。ワタクシの使命はお二人のお供ですが、特に雪華さまをお守りするようにとの命を受けております」
えっ、それってどういうこと?
だって息子の銀星のために、銀翔様は狛犬のわん太を警護に付けたんじゃないのかな。
夏のさなかでも、緋勇くんの背に乗り飛んでいる上空には冷たい風が吹いてきている。
今は晴れてるけど、天気が変わるのかもしれない。
私の住む風森町は、山も川も海もある。
天候は山の風、海の風によって変わりやすい。
山から吹き降ろす突風は大概天狗達の仕業だったりするけど、今は姿が見ないから、天狗の繰り出す妖力のせいではないみたい。
「風が変わった。急ごう。みんなしっかり掴まってろよ〜」
「きゃっ」
緋勇くんがスピードを上げて、急降下を始めた。
私はわん太を抱きしめ、銀星が私達を背後から包むようにして姿勢を低くして、しっかり緋勇くんの羽毛に掴まった。
緋勇くんは道の駅の裏の鬱蒼とした森に着地した。他の人に見られないようにすぐさま変身を解いて、人の姿に戻る。
私達は森から道の駅の建物を伺うように見た。夕暮れ刻の道の駅は閑散としている。人はまばらで、駐車場に停まる車は少なかった。
凪ちゃんをさらったのは、たぶん水虎の部下の小河童に違いない。
いったいどこに隠れているんだろう。
「おい」
「きゃあーっ!」
私は後ろに広がる森の奥から、突然声を掛けられ、驚きすぎて飛び上がった。
ゆ、幽霊?
もしかして幽霊ー!?
「うん、任せて。みんな気をつけてね」
意気消沈している河童のご隠居様の八束じいちゃんのことは、葵ちゃんと稲荷神社の狛犬や小鬼達に任せることにした。
私と銀星とわん太は朱雀の姿になった緋勇くんの背中に乗り、小河童がいそうな場所に向かう。
「ハーブ園と夏蜜柑の木があって醤油の蔵がある場所って、新しく風森町に出来た道の駅だよね」
「裏手は森になってるからね。妖怪にも居心地が良いんだろうと思う」
「雪華、銀星。なぁ、あの手紙から霊気もしてたろ? 魂が浮かばれなかった亡霊や黒妖が絡んでるかもな。二人のことは俺が守ってやるけど、敵は存外多いかもしれないぞ。充分気をつけろよ」
「ひ、緋勇くん。今、亡霊って言った?」
「……言った。あっ、雪華は幽霊が怖いんだっけ?」
「僕が雪華を守るから、大丈夫だ」
「だだだ、大丈夫だよ。私、相手が幽霊だって戦うから」
「銀星、なんか言ったかぁ?」
「いや、ひとりごと……」
私は幽霊がダメなの。
雪女で妖怪だからって、平気なわけないじゃない。
だ、だって死んでるんだよ?
あのね、妖怪は生きてるの。
死んでから妖怪に生まれ変わることもあるらしいけど、妖怪は生きてるんです。
幽霊は実体のない霊気の塊、もしくは魂がもやもやしたやつでしょ?
ゾゾーっとする。
背中に冷たく悪寒が走る。
私はそりゃあ純粋に人間じゃないし半分は妖怪だから、幽霊寄りだなんて言う人がいると思うけど、私はオバケも肝試しも怪談話も、ついでにゾンビもてんでダメで大の苦手なんだからぁ〜。
「雪華さまは幽霊が苦手なのですか?」
狛犬のわん太がくりくりとした瞳で私を見上げる。
可愛いっ。
私はわん太のかわゆさに癒やされる。
「そ、そうなんだ。私は幽霊は苦手なの」
私は怖さを紛らわすために、わん太を抱き上げむぎゅ〜っと抱きしめた。
「ワタクシも雪華さまをお守りします。それがお館さまとの約束なのです」
「私を? 銀星もでしょ?」
「はい。ワタクシの使命はお二人のお供ですが、特に雪華さまをお守りするようにとの命を受けております」
えっ、それってどういうこと?
だって息子の銀星のために、銀翔様は狛犬のわん太を警護に付けたんじゃないのかな。
夏のさなかでも、緋勇くんの背に乗り飛んでいる上空には冷たい風が吹いてきている。
今は晴れてるけど、天気が変わるのかもしれない。
私の住む風森町は、山も川も海もある。
天候は山の風、海の風によって変わりやすい。
山から吹き降ろす突風は大概天狗達の仕業だったりするけど、今は姿が見ないから、天狗の繰り出す妖力のせいではないみたい。
「風が変わった。急ごう。みんなしっかり掴まってろよ〜」
「きゃっ」
緋勇くんがスピードを上げて、急降下を始めた。
私はわん太を抱きしめ、銀星が私達を背後から包むようにして姿勢を低くして、しっかり緋勇くんの羽毛に掴まった。
緋勇くんは道の駅の裏の鬱蒼とした森に着地した。他の人に見られないようにすぐさま変身を解いて、人の姿に戻る。
私達は森から道の駅の建物を伺うように見た。夕暮れ刻の道の駅は閑散としている。人はまばらで、駐車場に停まる車は少なかった。
凪ちゃんをさらったのは、たぶん水虎の部下の小河童に違いない。
いったいどこに隠れているんだろう。
「おい」
「きゃあーっ!」
私は後ろに広がる森の奥から、突然声を掛けられ、驚きすぎて飛び上がった。
ゆ、幽霊?
もしかして幽霊ー!?