雨降る日のキセキ
忘れたいのに…っ。


どうして今になって朝陽くんの最期の日を思い出さなきゃいけないの…?


きっと、あのあと私と話しをしたあと事故に遭ったんだ。


じゃあ…もし私があの日公園にいなかったら…?


朝陽くんは死ななかった…?


朝陽くんと話したいがためにゴネて付き合わせなかったら…?


もしそうだったら…未来は変わってた…?


プルプルプルプルプル…


指の震えが止まらない。


私のせいかもしれない…。


だから…記憶が抜け落ちてたのかもしれない…。


私のせいで朝陽くんが…。


「千紘?どした?」


覗き込んできた千隼くんと目が合い、千隼くんは私の顔を見て固まった。


「……大丈夫?」


「ごめん…っ、ほんとに、なんでもないから…」


その表情を見てはじめて涙が流れていたことに気づき、慌てて拭って笑顔を作る。
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