雨降る日のキセキ

――――
――…

「水原、忘れ物がないかロッカールーム確認してきてくれ」


監督にそう言われ、皆が出払ったであろうロッカールームに向かう。


「お前に関係ねぇだろ!!」


扉を開けようとした瞬間、怒鳴り声ともに激しい物音が聞こえてきた。


「ふざけんじゃねぇ!!勝手にバタついて勝手に負けて、独り相撲じゃねぇかよ!!」


喧嘩…?


この声は千隼くんと翔吾だ。


中に入っていいものか、躊躇ってしまう。


でも、ロッカールームを使える時間に限りがある。


意を決して扉を開けると、目に飛び込んできたのは胸ぐらを掴み合っているバッテリーの姿だった。


「なんだよあのふざけた球は!!何か理由があるなら話せよ!黙ってんのがカッコイイとでも思ってんのか!?」


「言いたくないっつってんだろ!!何でもかんでもお前に話す必要ねぇんだよ!!」


千隼くんの目は真っ赤で、頬には幾筋もの涙の跡があった。
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