雨降る日のキセキ
それは翔吾も同じだ。


目も顔も真っ赤にして千隼くんに掴みかかっている。


「やめなよ、ふたりとも!」


何があったかは知らないけど、ふたりの気持ちは同じはずだ。


ふたりとも同じように悔しい思いをして、今苦しんでいる。


「喧嘩してる場合じゃないでしょ…?」


ふたりに近づいて、胸ぐらから手を離させる。


それでも、ふたりは睨み合ったままだった。


「お前のせいで負けた。一生忘れんな。お前が先輩たちの夢を奪ったんだ」


「ちょっと翔吾!!」


吐き捨てるように言い、翔吾はロッカールームを出ていった。


今の言葉がこたえたのか、千隼くんは力なくベンチに座り込んでしまった。


いくら喧嘩してたって言っていいことと悪いことがある。


今の翔吾の発言は最低だよ…っ。
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