雨降る日のキセキ
「アイツの言う通りだよな」


糸が切れたようにボーッと拳を見つめ続ける千隼くん。


なんて声をかけたらいいか分からなかった。


千隼くんの心境を思うと胸が張り裂けそうになる。


安易な慰めの言葉じゃ、傷をえぐることになるんじゃないか。


そう思うと何も言えなかった。


「俺のせいで負けた」


「そんなこと……」


そんなことないよ。


ホントにそう言っていいの…?


そんな上辺だけの言葉なんて…かけられないや…。


「やっぱり俺には…甲子園に行く資格がないんだろうな…」


「……うぅ…っ」


千隼くんの悲痛な声で、私の涙腺は限界を迎えた。


「…泣くなよ。千紘に泣かれるのが1番しんどい」


「ごめん…っ」


甲子園に行く資格がないだなんて…そんなこと言わないでよ…。


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