雨降る日のキセキ
「初恋の人と会いたいとか?」


千隼くんの前で言っていいものか迷っていると、ズバッと図星をつかれてしまった。


「……。変だよね、私…。何年も前のことをずっと引きずってて…」


千隼くんに愛想つかされちゃうかな…。


いつまで経っても過去の恋を忘れようとしないんだもん…。


「別に変じゃねぇよ。それに、前にも言ったろ?俺はそういう千紘が好きだって」


千隼くん…。


千隼くんにとっては、早く忘れてほしい存在なはずなのに…そんな風に言ってくれるなんて…。


…千隼くんもお兄さんを亡くしてるから、分かってくれるのかもしれないな…。

 
「亡くなった人は星になって皆の幸せを見守ってるって話、知ってる?」


「…え…?」


「あそこに大きな星があるだろ?きっと、あれは千紘を見守ってる星なんだよ」


あの大きな星が朝陽くん…。


私の幸せを見守ってくれてる…か…。


「千隼くんって意外とロマンチストなんだね」
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