雨降る日のキセキ
大会に向けてあんなに気合い入ってるのに、恋心は忘れていない翔吾がなんだか可愛らしい。


そんなこと、本人に言ったら怒るだろうけど…。


「…俺にだけめっちゃ当たり強いじゃん?なんで?俺嫌われてんのかな」


ヤンキーみたいな風貌で女々しいことを言う翔吾を見てると、笑いが込み上げてきて止まらない。


「……笑うな」


「だって翔吾が可愛いんだもん」


翔吾は眉間にシワを寄せて睨みつけてくるけど、そんなことで悩んでるのかと思うと本当におもしろい。


「私じゃなくて夏菜に聞けば分かるよ。頑張って」


夏菜はどう見ても翔吾に気がある。


翔吾が素直に気持ちを伝えればいいだけ。


「なんだよ。冷たいな」


「もう、不貞腐れてないで早く行くよ!」


思った答えが返ってこなかったからか、翔吾はいじけた顔をしている。


早く許可を貰って練習しなきゃ。


キャプテンの恋バナに付き合ってる暇はない。
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