雨降る日のキセキ
✡✡
「…何があったのか教えてほしい」
狭い部室に翔吾以外の皆が集まり、重い空気に耐えていた。
気を強く保っていないと押しつぶされてしまいそうな不安と恐怖に苛まれている。
「……神社の階段を上ってたら…、翔吾が靴紐を結ぶために立ち止まって…。そしたら横の茂みから誰かが飛び出してきて…。その人が翔吾を…っ」
「…突き落とされたってこと?」
頷くのが精一杯だった。
あのとき、止めることなんてできなかった。
身体が動かなくて、ただ転がり落ちていく翔吾を見ていることしかできなかった。
「誰に?なんで翔吾が?」
「……ハッキリ顔を見たわけじゃないから…」
でも…あれは……。
華…。
華だったと思う…。
最近ずっと神社にいて、今日も私たちより先に神社に向かっていた。
もしかして、ずっと突き落とすタイミングを狙ってた…?