雨降る日のキセキ
「…そんなことより、怪我だよ。私のことはどうでもいいの」


普通に話してるし、私をからかう元気もあるみたいだから、きっと大丈夫なんだろうけど…。


でも…。


「…大会には間に合わないんでしょ…?」


あんなに努力してきたのに。


誰よりも頑張ってきたのに。


「…まぁな。このザマだからな。間に合うわけがねーよ」


翔吾は軽くそう言った。


その目は怒りとも悲しみとも悔しさともとれる暗い色をしていて、それが強がりなのは明らかだった。


「…犯人の顔、見た?」


「見てない。千紘は?」


「……ごめん…。私もはっきりとは見えなかった…」


翔吾があからさまに落胆するのが分かった。


ついさっきまで私をからかっていた明るさは消え、虚無感に包まれている。


「……大会のために頑張ってきたのに、なんでこうなったんだろうな」


「……っ」


「…まっ、ってゆーのは冗談で。俺は平気だからあんま気にすんな?」
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