雨降る日のキセキ
私を気遣ってそう言ってくれてるんだろう。


つらいはずなのに無理やり笑いかけてくれて…。


そんな翔吾の痛々しい姿を見ていると、止めたはずの涙が溢れてくる。


「だーかーらー、泣くなって言ってんだろ?別に選手生命絶たれたわけでもないんだから」


「でも…っ」


「“でも”じゃねぇ。お前がしっかりしなかったらどーすんだよ。マネが不安がってるチームなんて勝てる試合も勝てねぇよ」


強い言葉を投げかけられ、押し黙るしかなかった。


翔吾が1番悔しいのに…。


あの努力はなんだったの…?


毎日毎日必死に練習してきた日々はなんだったの…?


「俺は本当に大丈夫だから。心配すんな。わかったか?」


「……っ」


許せない…っ。


翔吾を突き落とした犯人が許せないよ…っ。


「ったく。お前は暗いんだよ。また千隼の話でもしようか?」


翔吾が前向きなんだから、私もそうならなきゃ…。


つらいのは私じゃなくて翔吾なんだから…。
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